ススキが、風にゆられてその花穂をなびかせています。この時期のススキは、辺りを睥睨(へいげい)するような存在感を持っています。
我孫子市、北新田付近の、利根川堤防の秋の景色です。
ススキは尾花(おばな)、萱(かや)とも呼ばれて、中秋の名月を観賞するときの秋の植物として歌われ、万葉集には44首も登場するそうです。
また、茅葺(かやぶき)屋根の材料として利用されましたが、近年は、茅葺の民家もすっかり無くなってしまいました。この写真の背景にセイタカアワダチソウが写っているように、外来種のセイタカアワダチソウの繁殖でススキは、一時、少なくなりましたが、最近はすこしづつ、盛り返してきているようです。
「帰り来て、見むと思ひし、我が宿(やど)の、
秋萩(あきはぎ)すすき、散りにけむかも」 万葉集 秦田麻呂(はたのまろ)
「行き行きて 路山に入る 芒(すすき)かな」 (会津八一)
秋もいよいよ深まってきたようです。
撮影機材 (手持ち撮影)
オリンパス ミラーレス一眼
1.OM−E E−M1ボディ (パワーバッテリー・ホルダー HLD−7付)
2.レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II
閑話休題 :晩秋に聴くターリッヒのCD
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調、 交響曲第8番 ト長調
ロストロポーヴィチ(チェロ)/ターリヒ 指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1952年モノラル録音
今日は、雨なので鳥の撮影にいかないで、この時期にふさわしそうな上記のCDを聴いてみました。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、チェロ協奏曲の最高傑作として知られています。昔から、古今東西の様々なチェリストがこぞって演奏・録音を行ってきました。
私が、この曲を最初に聴いたのは、40年以上前、高価なLPの買えなかった私でも買えた、英EMIの廉価レーベル、セラフィムのLPで「フルニエのチェロ、セル指揮 ベルリン・フィル」だったと記憶しています。その頃は、このLPが、同曲の名演といわれていました。
このLPは、端正で上品なチェロで、毎日何度もよく聴きました。今でも、十分名演と思われます。
その後、あらゆるチェリストの中でも同曲を最も多く(5回)録音したチェリストと思われるロストロポーヴィチのチェロのCD、/カラヤン ベルリン・フィル(1968年)/ジュリーニ ロンドン・フィル(1977年)なども購入して、時々聴いていました。
ロストロポーヴィチが、小澤との演奏の出来に大変満足したと言われる/小澤 ボストン交響楽団(1985年)のCDは、聴いていません。
したがって、ロストロポーヴィチのチェロ演奏を聴きたいのであれば、1985年盤なのかもしれませんが、私は、ターリッヒ指揮チェコ・フィルのオーケストラ演奏が大好きなので、古い録音(1952年)のCDを満足して聴いています。
この演奏は、スプラフォンのモノラル録音ですが、音の状態もよく、全盛期のターリッヒとチェコ・フィルの共演は、颯爽とした、速いテンポの圧倒的な名演で、これまで私が聴いてきた同曲の「超名演」と思います。
ドヴォルザークの交響曲は、第7番以前の交響曲にはブラームスの影響が強く見られ、また第9番「新世界より」ではアメリカ音楽の影響を強く受けているため、チェコの国民色濃厚な、この交響曲第8番は「チェコの作曲家」ドヴォルザークの最も重要な作品として位置づけることができるといわれています。
ボヘミア的なのどかで明るい田園的な印象が特徴的で、知名度の点では第9番には及ばないものの、第7番などと同様に人気のある交響曲で、郷土色の浸み込んだターリッヒ/チェコ・フィルの演奏はドヴォルザークの「田園交響曲」を見事に表現しています。
この曲は、ドヴォルザーク自身の指揮により、プラハ国民劇場管弦楽団(チェコ・フィルの前身)により、1890年2月2日に初演された由緒ある楽曲です。
ターリッヒ/チェコ・フィルの演奏は、本場の演奏として、チェコの自然と歴史を感じさせ、あたかも車窓からボヘミアの風景がとうとうと流れていくような美しい情景を彷彿とさせてくれます。
こんな素敵な演奏を聴いていると、秋の日の雨もいいものですねぇ〜。