なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

新春に飛ぶミコアイサ

新春(1月3日)の曇り空、茨城県神栖市の神之池(ごうのいけ)では、雨もポツリ、ポツリと降り出しました。あたりはかなり暗くなってきました。そんな暗い池の上を、ミコアイサが、低空を飛んで池の端に着水しました。

オスもメスもいます。

この神之池周辺には、「東国三社(とうごくさんしゃ)」といわれる鹿島神宮香取神宮・息栖神社(いきすじんじゃ)があります。


ウイキペディアの「東国三社」によれば(加筆省略しました)


この三社はいずれも関東地方東部の利根川下流域に鎮座する神社で、それぞれが関連性をもっているようです。

古代、この付近には「香取海(かとりのうみ)」という内海が広がっていました。これら三社の鎮座位置はその入り口にあたり、うち鹿島神宮香取神宮大和朝廷の東国開拓の拠点として機能したとされています。

また、三社はいずれも「古事記」「日本書紀」における葦原中国(あしはらのなかつくに)平定に関する神を祀(まつ)っています。

鹿島神宮主祭神は、タケミカヅチノカミ香取神宮主祭神は、フツヌシノカミ、息栖神社の主祭神は、岐神(フナドノカミ)と伝承されていて、この岐神は、記紀に記載はないのですが、先の二神を、東国(とうごく)に導いたと伝えられる神であり、同社では天鳥船神(アメノトリフネノカミ)も配祀(はいし)するそうです。

また、息栖(いきす)というのは香取海に浮かぶ沖洲(おきす)がなまったもので、大昔このあたりは砂州(さす)だったようで、この神社は河口に近い日川地区にあったが、少し上流の現在地に移ったと、社伝にあるそうです。

詳しいことはわかりませんが、神之池は、常陸風土記(ひたちのくにふどき)に記されている「寒田」という大きな沼は、現在の「神之池」のことで、その名は鹿島の「神の池」に由来しているともいわれています。

ミコアイサは、漢字で「巫女秋沙」と書き、その由来は、成鳥雄の羽衣の特徴を「白い衣を着て、目の回りに黒い入れ墨をした巫女(みこ)に見立てた命名」とされているそうです。

三が日に、三柱(みはしら)の神様の土地で、それに仕える「巫女さん」(ミコアイサ)に運よく出会えたということは、今年も何か良いことが起こりそうな気配を感じます。


歌舞伎の「三人吉三廓初買」(さんにんきちさくるわのはつがい)の文句(注1)じゃないけれど


「こいつは 春から縁起(えんぎ)がいいわえ!」



(注1)お嬢吉三の終わりのセリフ

「月も朧(おぼろ)に白魚の篝(かがり)も霞む春の空、冷てえ風も微酔(ほろよい)に心持よくうかうかと、浮かれ烏(うかれがらす)のただ一羽塒(ねぐら)へ帰る川端(かわばた)で、棹(さお)の雫(しずく)か濡手で粟、思いがけなく手に入(い)る百両、ほんに今夜は節分か、西の海より川の中、落ちた夜鷹(よたか)は厄落し、豆沢山(まめだくさん)に一文の銭と違って金包み、こいつぁ春から縁起がいいわえ」