なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

雪の中のカワセミ

粉雪が舞っている寒い午後、カワセミが水場に現れました。

羽がすっかり水に濡(ぬ)れて、とても寒そうに佇(たたず)んでいます。

動きません。

じっと水面を見つめたまま固まってしまいました。

こんな天候の中でもカワセミは、生きのいい魚を捕らないと生存が危うくなります。

自然は残酷です。そのため、カワセミは頑張ります。

30分以上見ていましたが、一度も飛び込むことができませんでした。

その後も長い時間頑張っていましたが、あきらめて、近くの水辺に移動して魚を狙うようでした。

その後、きっとチャンスをつかまえたことでしょう。

冬場を乗り切ることは、鳥たちにとって一大事なのですねぇ〜







閑話休題ディラックの海ウロボロスのヘビ


1928年、ディラック(P.A.M. Dirac)は、電子に対する量子力学の方程式にアインシュタインの「特殊相対性理論」を統合する数式を考え出しました。

この数式は、NHK放映の「神の数式」に登場するCERN(セルン:欧州合同原子核研究機関)の庭の石に刻まれた1番目の数式でディラック方程式と呼ばれています。

この方程式を用いて電子のエネルギーを求めるとマイナスの値が計算上でてくることが知られています。

この異常なマイナス・エネルギー問題の解決のためにディラックは、「空孔理論」と呼ばれる突飛なアイディアを提唱したそうです。

つまり、私たちが真空と考えている状態は、マイナスのエネルギーをもつ無数の電子で埋め尽くされた「海 」になっているというのです。

この「海」は、「ディラックの海 ( Dirac sea ) 」と呼ばれています。  私たちは、真空には何もないと思っていますが、 実は無限の数の電子がすでに「存在」していると考えるのです。

もしこの「海」にプラスのエネルギーを与えると「海」の中の電子は、プラスのエネルギーを持つ普通の電子となって飛びだしてきます。そして飛び出した電子が元あったところには穴が空きます。

このような考えに基づく理論を「空孔理論」と呼びます。

元々マイナスの電荷が占めていたところに穴が空いてマイナスの電荷を持ち去ったので、残りの電子は、プラスの電荷をもった電子と観測されます。 これは、プラスの電荷を持つ粒子が出現したかのように観測されるので、ディラックはそういう「反粒子」と呼ばれる存在があるに違いないと予言しました。
 
1932年、アメリカの物理学者アンダーソンによって、そのような「反粒子」が実際に発見されたのです。  宇宙から降り注ぐ放射線の中に、 正確に電子と同じ質量を持つ、電子と正反対の電荷の粒子があることが分かり、 「陽電子 (positron) 」と名付けられました。  ディラックはその翌年、ノーベル賞を受賞しました。

その後も電荷の値などなにか一つの値のプラス・マイナスだけが通常の粒子と逆になっている反粒子がつぎつぎに見つかりました。

陽電子は今では加速器を使って人工的に大量に作り出すことができます。  十分に高いエネルギーを得て粒子と反粒子がペアで生まれることを「対生成」と呼び、 粒子と反粒子が一緒になって光を放って消えることを「対消滅」と呼びます。

永遠に不滅だと考えられてきた物質が、 真空から新たに生み出されたり、 対消滅して光だけを残して消えてしまうことが分かり、 物理学は粒子の増減をも理論に取り入れた新しい領域に踏み込む必要が出て来ました。

それまで「真空」とは何も無い状態を指すのだと漠然と考えられてきましたが、 そこには粒子を生み出したり消滅させたりする複雑な仕組みが隠されているようです。

つまり、研究の対象が粒子の存在の舞台である時空そのものに 向けられるようになってきたのです。

ディラック反粒子の考え方は、今日「真空では、粒子と反粒子がたえず生成・消滅をくりかえしている空間」と考える「場の量子論」の誕生につながりました。

ウロボロスのヘビ

ギリシア神話にでてくる「ウロボロスのヘビ」は、自分のシッポを呑み込んでいます。

現在の宇宙は、とても巨大なのですが、時間を巻き戻してみるとだんだん小さくなり、生まれたばかりの頃の宇宙は、とても熱くて小さいものだったことがわかっています。巨大な宇宙を本当に理解するには、ミクロの世界を理解する必要があるようです。ミクロの世界は、原子、原子核素粒子の世界です。

ウロボロスのヘビ」の頭の部分を宇宙全体のマクロのサイズ、シッポの方を素粒子のミクロのサイズだと考えると「ウロボロスのヘビ」は、宇宙全体の世界と素粒子の世界がつながっていることになります。そのため「ウロボロスのヘビ」は、宇宙全体の調和を現すシンボルとなっています。

現代の科学者は、場の量子論をさらに進めて自然界のあらゆる現象を統一的に説明しようとする「大統一理論」の完成をめざしています。

ディラック方程式はマクロの特殊相対性理論とミクロの量子論との統合ですが、重力を含めた一般相対性理論の統合は、成されていないのです。

つまり、ディラック方程式は、神の数式ではなくて、神の数式を求める出発点なのです。

今後の物理学は、宇宙のインフレーション、ビッグバン、母宇宙、暗黒エネルギー、暗黒物質などなど、とても面白そうな展開を見せてくれそうですね。