なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

沼南の花菖蒲

手賀沼の沼南(しょうなん)の乾燥した畑に綺麗(きれい)な花が咲いていました。


「五月雨(さみだれ)に 沢辺(さわべ)のまこも 水越えて
     いずれ菖蒲(あやめ)と 引きぞわづらう」

                 源頼政 (太平記


この歌は、昔、弓の達人の源頼政(みやもとのよりまさ)が、帝(みかど)の命により怪鳥(かいちょう)の鵺(ぬえ)を二条城あたりで射抜いたそうで、その功績(こうせき)の褒美(ほうび)として、美女として噂(うわさ)の高い菖蒲の前(あやめのまえ)を娶(めと)ることが許され、「多くの美女の中から 「菖蒲の前」 を選べ」と言われて咄嗟(とっさ)に詠(よ)んだ歌であるとされています。

「五月雨が降ったため、水位が上がって、どれがアヤメか見分けがつきません」 

この即妙(そくみょう)な歌に感心した帝によって「菖蒲の前」を授(さず)かったと「太平記(たいへいき)」に書かれており、この話が後世「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」と美女を比(くら)べるときの慣用句(かんようく)になったとされています。


蛇足ですが、映画「陰陽師(おんみょうじ)」にも登場する源頼政は、武将としても歌人としても有名だったようで「平家物語」「源平盛衰記(げんぺいせいすいき)」に鵺退治(ぬえたいじ)の話が記述されています。

夜な夜な恐ろしい声で鳴いて、天皇を悩ませる怪物がいました。その怪物は、当時「ヌエ」と呼ばれていて頭はサル、体はタヌキ、手足はトラ、尻尾はヘビに似ていたそうです。

頼政が退治した怪物は、今となってはよく分からないですが、その鳴き声は今では「トラツグミ」ではないかといわれています。

室町時代の軍記物語の「太平記」の説話は、多分、鎌倉時代の成立とされている「平家物語」や「源平盛衰記」の説話を参考にして書かれたものと思われます。

アヤメとショウブは、漢字ではどちらも「 菖蒲 」と書きます。

私も、あやめ、しょうぶ、かきつばた、の区別は分からないので、ネットで調べてみたら以下の区別があるようです。

「花菖蒲(はなしょうぶ)は花の種類は多く紫系統の他に黄色や白、絞り等
多彩であるがどれも「花弁の根元のところに黄色い目の形の模様」がある。

杜若(かきつばた)はあまり種類は多くないが、「花弁の弁の元に白い目型の模様」があるのが特徴。

あやめも花の種類は多くないが「花弁の元のところに網目状の模様」がある。」

写真撮影した後なので花弁の元を見れないため、とれも花菖蒲に見えるのですが、最初の写真はアヤメかもしれませんし、その他の写真も怪しいのですが、とりあえず花菖蒲としておきます。

どの花もとても綺麗で畑に咲いているのはもったいないような気がしました。



     「わが恋は 人とる沼の
            花菖蒲(はなあやめ)」

            泉鏡花(いずみきょうか)