なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

松之山付近の景色と植物

新潟県松之山付近の里山は、稀少(きしょう)な鳥たちを観るだけでなく、和やかな自然に触(ふ)れることができます。

あちこちで「桐(きり)の花」に出会いました。

いままでに、これほどたくさんの「桐の花」を観たことはありません。

青空に、薄紫の気高(けだか)い花房は、とても見事なものでした。



また、この地区の名所に美人林(びじんばやし)と呼ばれる林があります。

十日町市のホームページにその由来が書かれていましたので以下に引用させていただきます。


「松口の北の丘陵に樹齢90年ほどのブナの木が一面に生い茂っています。

あまりにもブナの立ち姿が美しいことから「美人林」と呼ばれるようになりました。

昭和初期、木炭にするため全て伐採され裸山になりました。ところがあるとき、この山のブナの若芽が一斉に生えだし、ブナ林が野鳥の生息地として見直され、保護されるようになりました。
今では多くの人が訪れ、森林浴を楽しんでいます(外気より気温が2℃低いと言われております」

とのことです。


下に掲載の写真は「美人林」の早朝の写真です。






里山の路傍にシモクレンの花が咲いていました。春の花なのにこの付近では初夏に咲くのでしょうか?


このシモクレンの花の付近に大きな葉っぱの朴葉(ほおば)がありました。




この松之山付近は自然がいっぱいの里山の探鳥地(たんちょうち)のようです。



新潟出身で、この松之山付近に親戚があった、作家の坂口安吾(さかぐちあんご)は、「黒谷村」「不連続殺人事件」「逃げたい心」などで松之山を舞台にしているようですが、「逃げたい心」で、松之山を以下のように描写しています。。


「長野から三四時間の旅程で、すでに越後の温泉であるが、信越国境を越えてまもない山のどん底に、松之山温泉というものがある。単に山底というばかりで特別奇も変もない風景であるが、松山鏡(注*参照)の伝説の地と伝えられているところで全く都人士の訪う者がない。そのくせ奈良朝の頃には京と奥州を結ぶ道筋に当たっていたところで、大伴家持が住んだと伝えられる土地もあり、言葉や柔和な風習なぞにも多分に京の名残りがあって、交通の不便な頃は却って賑やかな温泉であった。・・・」


新潟県松之山は、ひなびた風景の素敵な場所でした。


(注)松山鏡(まつやまかがみ)・・・古典落語で、昔、越後に松山村という、鏡というものを全く知らない村があり、そこに住む孝行息子とその夫婦の喧嘩をコミカルに描いた作品です。