6月の梅雨の中でも花菖蒲(はなしょうぶ)は、艶(あで)やかな姿できわだっています。
手賀沼遊歩道脇の菖蒲畑で、色とりどりの花菖蒲が佇(たたず)んでいます。
この近辺の花菖蒲の名所は、水元公園(みずもとこうえん)がありますね。
この付近の「花菖蒲の佇まい」は、芥川賞作家の芝木好子が小説{葛飾(かつしか)の女}で次のように表現しています。
「見渡すかぎり、湿地一面に色とりどりの菖蒲の群生が現われた。
江戸小紋の優雅な花柄をひろげたようであり、また白鳥が重なり
ながら紫の鳥を抱いて飛ぶような、浮世離れの清らかな眺めであ
った」
この小説のヒロインは、水に身を投げるのですが、愛する画家の描いた「名画」の中に「明治の女」として生きています。
雨模様の中の菖蒲畑には、そんな「明治の女」がふさわしいのかもしれません。
この手賀沼遊歩道の花菖蒲畑でも画家が写生をしていましたが、「明治の女」は居ませんでした。
「かりそめの つまとは見れど 菖蒲ぐさ
軒の匂に いくよなるらむ」
(藤原定家)