なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

手賀沼遊歩道の花菖蒲

6月の梅雨の中でも花菖蒲(はなしょうぶ)は、艶(あで)やかな姿できわだっています。

手賀沼遊歩道脇の菖蒲畑で、色とりどりの花菖蒲が佇(たたず)んでいます。



この近辺の花菖蒲の名所は、水元公園(みずもとこうえん)がありますね。


この付近の「花菖蒲の佇まい」は、芥川賞作家の芝木好子が小説{葛飾(かつしか)の女}で次のように表現しています。



   「見渡すかぎり、湿地一面に色とりどりの菖蒲の群生が現われた。
    江戸小紋の優雅な花柄をひろげたようであり、また白鳥が重なり
   ながら紫の鳥を抱いて飛ぶような、浮世離れの清らかな眺めであ
   った」


この小説のヒロインは、水に身を投げるのですが、愛する画家の描いた「名画」の中に「明治の女」として生きています。


雨模様の中の菖蒲畑には、そんな「明治の女」がふさわしいのかもしれません。



この手賀沼遊歩道の花菖蒲畑でも画家が写生をしていましたが、「明治の女」は居ませんでした。




「かりそめの つまとは見れど 菖蒲ぐさ
              軒の匂に いくよなるらむ」
       
                    (藤原定家