真っ赤なヒガンバナのそばの水辺に真っ白いヒガンバナも咲いていました。
赤い花のヒガンバナもいいですが、白いヒガンバナも素敵ですね。
とても清純な印象を受けるヒガンバナです。
お彼岸の「彼岸」(ひがん)という言葉は、サンスクリット語の「パーラミタ(pāramitā)」の漢訳「波羅密多(はらみた)」から来たものといわれています。
「波羅密多」は。到彼岸(とうひがん)と解釈されています。つまり煩悩(ぼんのう)と迷(まよ)いの世界である「この世」つまり「此岸(しがん」)にある者が、「六波羅蜜」(ろくはらみつ)の修行をする事で「悟りの世界」すなわちあの世「彼岸」(ひがん)の境地へ到達することが出来るというものです。
「六波羅蜜」とは、生きながら成仏(じょうぶつ)するための6つの修行のことです。
6つの修行とは、布施(ふせ)自戒(じかい)忍辱(にんにく)精進(しょうじん)禅定(ぜんじょう)智慧(ちえ)で、布施・持戒 は、「利他」 忍辱・精進 は「自利」 禅定・智慧 は「解脱」の修行です。
般若心経(はんにゃしんぎょう)の最後の言葉に次のような呪文(じゅもん)があります。
揭帝揭帝 般羅揭帝 般羅僧揭帝菩提僧莎訶(ガテーガテー、ハラソーガテー、ボーチーソワカ)
サンスリット語では、(ガテー ガテー パーラガテー パーラサムガテー ボーディ スヴァーハー)
この部分は翻訳不能なのですが、渡辺照宏(わたなべしょうこう)博士は、次のように訳しています。
「到れり、到れり。彼岸に到れり。彼岸に到着せり。悟りにめでたし。」
この呪文は、マントラ(mantra)で「彼岸にいける者」を讃(たた)える真言(しんごん)なのです。
マントラというのは、仏の真実を伝える霊威(れいい)あることばなのです。
弘法大師(こうぼうだいし)空海(くうかい)は、その著書「般若心経秘鍵(はんにゃしんぎょうひけん)のなかで、この段を秘密真言分(ひみつしんごんぶん)と名付け、「真言は不思議なり 観誦(かんじゅ)すれば無明(むみょう)を除く。一字に千理を含み 即身に法如を証す」といっています。
このマントラを唱えれば、私たち凡人も「ご利益(りやく)」があると言われています。
古人は、太陽が真東から上がって、真西に沈み昼と夜の長さが同じになる春分の日と秋分の日を挟んだ前後3日の計7日間を「彼岸」と呼んで、この期間に仏様の供養をする事で極楽浄土(ごくらくじょうど)へ行くことが出来ると考えたようなのです。
この習俗はインド,中国にもみられず,日本にしかないとのことです。
春秋の2月,8月(陰暦)に7日間の仏事を行うことは,806年を最初とし,平安時代初期には恒例となっていたことが「日本後紀(にほんこうき)」(延喜式えんぎしき)にみえるそうですが,この仏事が「彼岸会(ひがんえ)」とよばれていたかどうかは不明だそうです。
「曼珠沙華 ひたくれなゐに
咲き騒(そ)めく
野を朗かに 秋の風吹く」
(伊藤左千夫)