なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

渡良瀬遊水地を舞う葭原の鷹チュウヒ

2月11日建国記念日は、昨日までの真冬の寒さから一変して,風もなく穏やかな、「3月中旬の春」を思わせる好天気になりました。

ここ渡良瀬遊水地の葭原(よしはら)の上空をチュウヒが気持ちよさそうに舞っていました。
左から右に、右から左にUターンしながら獲物を狙っています。

かなり頑張っていたのですが、獲物が見つけられないようで、遠くの彼方に姿を消しました。

別の狩猟地に行ったのかもしれません。

チュウヒはカラスより大きめのタカで、主にヨシ原などの草地に生息します。日本で繁殖するタカの中では唯一、地上に巣を作るそうです。

ここ渡良瀬遊水地は、チュウヒとハイイロチュウヒが越冬しています。でも草丈が4メートルもある葭原で見かけるのは、ほとんどチュウヒです。

渡良瀬遊水地でハイイイロチュウヒを見かけるのは、草丈が低い堤防周辺や遊水地周辺の農耕地です。チュウヒとハイイロチュウヒは住み分けているのでしょうか?

さて、チュウヒには国内で繁殖・越冬している個体群と、越冬期に大陸から飛来してくる個体群があるそうで、国内で繁殖しているつがい数は約90つがいと推定され(環境省 レッドデータブック2014)、生息地の減少もあって環境省レッドデータリストでは絶滅危惧1B類(EN)となっています。

渡良瀬遊水地は、「平成24年7月にルーマニアで開催された第11回ラムサール条約締約国会議において、ラムサール条約湿地(国際的に重要な湿地)に登録され、東京から60キロメートルに位置し、群馬、栃木、埼玉、茨城の4県の県境にまたがる日本最大級の遊水地なのです。

広大なヨシ原が特徴で、貴重な動植物が数多く確認されているようです。

広大な葭原が次第に無くなりつつある現在、この広大な葭原は、葭原を棲み家としているチュウヒにとって、とても貴重な生息環境となっています。



「それ鷹の 斜めに下りる 枯野哉(かれのかな)」 (正岡子規