その時、嵯峨塩深沢林道のハンノキは雪に覆われていました。
あたりは一面の雪に覆われ、小鳥たちのエサになる木の実草の実を隠しています。
マヒワの群れがあわただじく雪の積もったハンノキに集まりました。
ハンノキの花穂に体ごとぶつかり雪を蹴散らしながら花穂の中の実をついばんでいます。
ものすごい勢いです。
日本へ越冬に飛来するマヒワの群れは、まず山間部に入り、次第に平野部に移動するようです。最初は平野部より早めに実る木の実を求め山に入り、春先にかけて早く芽の吹く平野部に移動するためだと思われます。
ここ嵯峨塩深沢林道のマヒワはこの山間部でまだ頑張っているようです。まだ頑張っているのは、ハンノキに実がたわわに実っているからかもしれません。すでに1月に都立水元公園のハンノキにマヒワが集まっていたので、もう山から里に降りていると思っていたのですが・・・
我先にと、マヒワたちはハンノキの花穂に群がります。
ありとあらゆる角度から曲芸をするように夢中になって実を食べています。
その力強さに圧倒されます。
「生きる!」その力はマヒワの群れに漲(みなぎ)っていました。
「飛びかはす 鶸(ひわ)や鶲(ひたき)や 藪(やぶ)の中」 (泉鏡花)
「こゑせずと色こくなるとおもはまし やなぎの芽はむひはの村鳥」 (西行)