「楊貴妃(ようきひ)の 化粧道具(けしょうどうぐ)や 海棠花(かいどうか)」
(正岡子規)
春になると、梅、桜、桃などの鮮やかな花々(はなばな)が、里の装(よそお)いをピンク色に染めてくれます。
この花海棠(はなかいどう)の妖艶(ようえん)なピンク色の花々は、春をいっそう艶(あで)やかに演出してくれます。
天候不順な昨今ですが、春はどんどん深まっています。
メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲ホ短調
(Vn) ダヴィド・オイストラフ
(指揮) ユージン・オーマンディ
フィラデルフィア管弦楽団
1955年録音モノラル
昔、ヴァイオリン協奏曲のLPレコードには「メン・チャイ」といってメンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をカップリンクしたLPが流行(はや)っていた時期がありました。
私もこの種類のLPもいくつか所有していました。
でも、その中で最初に購入したのがオイストラフとオーマンディのLPでした。
このLPを購入した頃はあまりLPも持っていなかったので、毎日のように聴いていました。
このメンデルスゾーンのコンチェルトは、モノラルなのですが、かなり、いい録音で、オイストラフの弾くヴァイオリンの甘い調べに酔いしれていました。バックのオーマンディ、フィラデルフィアもすばらしいサポートでした。
その後、LPをすべて処分してしまったので、この演奏も忘れてしまっていたのですが、他の演奏家の演奏のCDを聴くたびに、このオイストラフの演奏が思い出されてしまうのでした、
こんな甘いうっとりするような演奏は他に見当たりません。
そこで、CDを探してみましたが、古い音源なので1989年頃にはCD化されたようですが、とっくに廃盤です。
やむなく中古CDを調べてみましたが、CD1枚が1万円近くの値段がついています。
これは、「買えないな」と思って諦(あきら)めていたのですが、なんと、ひょっこりこのCD発売当時の価格の半値で入手できました。
聴いてみると、まさにあのころ聴いた魅惑の音色です。
聴きたいと願っていると、かなえられることもあるのですねぇ〜。