なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

梅雨の晴れ間のアジサイ

手賀沼遊歩道近くの畑の垣根になっているアジサイが咲き誇っています。

ひとつひとつのアジサイも味わい深いものですが、たわわに咲き誇るアジサイも見事なものです。



「 あぢさゐの 八重咲くごとく 八つ代(よ)にを
         いませわが背子(せこ) みつつ偲(しのば)はむ 」

                      (橘諸兄  万葉集

(意訳)
  あじさいが 幾重にも群がって咲くように
  いついつまでも 健やかでいてください
この花を見るたびにあなたを思い出しましょう









緩和休題ーギレリスのベートーヴェン 選帝侯ソナタ 2曲とハンマークラヴィアを聴く


ベートーヴェン選帝侯ソナタ 変ホ長調 WoO.47-1
選帝侯ソナタ 変ホ長調 WoO.47-2

第29番 変ロ長調 作品106 「ハンマークラヴィア」


今日は、ギレリスの「ベートーベン:ピアノソナタ選集」から 選帝侯ソナタ2曲と「ハンマークラヴィア」 を聴いてみました。

選帝侯ソナタは、ベートーベンが、13歳で作曲した選帝侯ケルン大司教フリードリヒに捧げた最初期のピアノソナタであり、まだ、後年のピアノソナタのような完成度の高い曲ではないのですが、あまり演奏されない小品なので、ふと、聴きたくなる作品です。

ギレリスが,ベートーベンのピアノソナタ全集の録音を開始したのは1972年で14年という歳月を費やしましたが、全32曲を完成させることは出来ませんでした。

それでも、ギレリスが、作品番号がつく前の選帝侯ソナタ2曲を残しているのは、これらの曲によほど共感を感じていたのかもしれません。この演奏は、とても丁寧でギレリスの到達した慈愛あふれるすばらしいものです。

また、ハンマークラヴィアは、難曲でテクニシャンのバックハウスもモノラル録音だけでステレオ録音はありません。そこで、ステレオで録音されているギレリスを聴いて見ることにしました。

なぜなら、ギレリスが1984年訪日時のインタービューで、

「ハンマークラヴィアは初めての録音です。ご存じのようにこのソナタは大変に巨大で偉大な作品です。技術的に練習して表面的に弾けるようになったからと言って録音出来るような作品では勿論ありません。私も以前からこのソナタを弾きたいと思っていましたし、若い頃にも随分練習しました。しかし、それはエベレストに登る様なものだと思うようになりました。レコード会社はどんどん録音してくれと言いますが、私は自分が納得出来るまでは出来ませんし、やりません。ハンマークラヴィアもそうでした。ですから、私もエベレストに登れる様になったから録音したのだと、この演奏を聴いて思って頂けるとしたら、大変誇りに思います。」

と語っているように相当な自信作といえる作品だからです。

一般に、ギレリスは、「鋼鉄のタッチ」と評される「完璧な技巧のピアニスト」で冷たい感じに思われているようですが、彼の晩年の「ベートーベンのピアノソナタ集」の演奏は、どれも、しっとりとした味わいのある演奏で、全集完成のために費やされた長期間に熟成された自信作だと思います。全集が完成できなかったのはとても残念です。

私は、ベートーベンのピアノソナタ全集は、バックハウス、ナット、ハイドシェク、グルダなどで聴いていますが、ギレリスのベートーベンのピアノソナタは全集ではないのですが、これらの演奏をしのぐほどの見事な演奏だと思います。

今日聴いた3曲は、とても丁寧で味わい深い完成度の高い演奏です。

じめじめした梅雨時に聴くと、スッキリ爽やかな気分になれる演奏でした。