なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

アガバンサスの花

我が家のそばの路傍にアガバンサスの花がさいていました。

アガバンサスは,ギリシャ語で愛を意味する「アガペ」と花を意味する「アントス」の組み合わされたとのことで「愛の花」という意味だそうです。

和名は紫君子蘭(ムラサキクンシラン)、英名はアフリカンリリー(African lily)で、 日本へは明治時代の中期に渡来したようです。

梅雨の訪れを告げるアガパンサスは、すらりと伸びた茎に、紫色の花柄が開いている姿で。すらりとした佳人を連想させ、不快指数の高いこの時期に、爽やかな気分にさせてくれます。

アガバンサスは、「愛の花」なので以下の古歌2首を思い出しました。



「茜(あかね)さす 紫野(むらさきの)ゆき しめのゆき 
                野守(のもり)はみずや 君が袖振(そでふ)る」

                     (額田王 ぬかだのおおきみ 万葉集


意訳:

紫草(むらさきぐさ)の生(は)えている野原を行き、立ち入りできない御料地の野原を行き来して、野の番人が見はしないでしょうか? あなたが私に向かって袖を振っているのを!



「紫の にほへる妹を 憎くあらば
          人妻故に吾(あれ)恋ひめやも」

                    (大海人皇子 おおあまのおうじ 万葉集

意訳:

紫草の紫色のように美しいあなたのことを憎いと思っているとしたら、どうして私はあなたのことをこんなにも恋しく思うのでしょうか。あなたは恋をしてはいけない人妻だというのに(憎いとは思っていないので)あなたへの恋心が自然に出てくるのです。

注)ここで詠まれている紫草は、実は、白い花が咲きます。紫草の根は、紫根と呼ばれ、アセチルシコニンと呼ばれる色素を含んでいます。昔から紫染めの原料として用いられました。