なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

華麗に舞い降りるチュウサギ

谷津干潟にたくさんの白鷺の群れがいました。

一般に、白鷺は、コサギチュウサギダイサギの総称で、今の時期は、ここ谷津干潟に全種類が集結しています。

遠くにいた白鷺の一羽がこちらに飛んできました。

ダイサギの亜種であるチュウダイサギチュウサギの見分けは難しく、見比べれば大きさの違いで判別できますが、単独でいる場合は困ってしまいます。

チュウサギは、ダイサギより首もクチバシも短いと言われていますが、そのときの体勢や見る角度によっては長くも短くも見えるのでなおさらです。

クチバシが黄色なので、ダイサギかと思いましたが、クチバシの先が黒いのでチュウサギと判断しました。

この白鷺は、とても優雅な姿勢で舞い降りました。

その後、仲間も飛んできて一緒に並びました。

とても素敵な一幅(いっぷく)の「白鷺の風景」が眼前に広がりました。

でも、左の後ろ姿の白鷺はちょっと小ぶりなのでコサギかもしれません。



唐の詩人、李白(りはく)の漢詩に白鷺を詠んだ漢詩があるので以下にご紹介いたします。


   賦得白鷺鷥送      賦して白鷺鷥(はくろし)を得たり


  宋少府入三峡   宋少府(そうしょうふ)の三峡(さんきょう)に入るを送る


  白鷺拳一足    白鷺(はくろ)  一足(いっそく)を拳(あ)げ
  月明秋水寒    月(つき)明(あき)らかに  秋水(しゅうすい)寒し
  人驚遠飛去    人(ひと)驚かして  遠く飛び去り
  直向使君灘    直(ただち)に使君灘(しくんたん)へ向かう


(意訳)

        籤(くじ)をひいて白鷺というお題があたりました。

    宋(そう)県尉(けんい=司法官)が三峡(さんきょう)に入るのを送ります。
        

白鷺が片方の足を曲げて一本足で立っています。

月は明るく、秋の水は冷たい。

白鷺が人の気配にびっくりして遠くへ飛び去りました、

その白鷺は、昔、長官が遭難したと云う三峡の早瀬の使君灘(しくんたん)の方へ真っ直ぐに向かって飛んで行きました。
 

注1)白鷺鷥(はくろし)=白鷺の別名

注2)少府(しょうふ)は県尉(けんい)のことで、県令(県知事)の下の警察、司法の官位です。

注3)使君灘(しくんたん)は、長江の三峡の難所であり、李白は、この送別の漢詩に「宋県尉(そうけんい)が、これから到来するであろう、さまざまな困難を乗り越えて欲しい」という気持ちを詠(よ)み込んだと考えられます。