なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

里山の鷹サシバ

「差羽(さしば)帰り来て 伊良湖(いらこ)よ 夏満ちたり」 (金子兜太)


昨年も我孫子市里山に飛来していた夏の鷹サシバが、今年も3月に飛来していたようです。

4月16日(土)に、このサシバに会いに出かけてみました。

4月になっても冬鳥のツグミやアリスイなどは、まだ残っていますが、気の早いツバメやサシバ我孫子地区には3月になると飛来し始めます。

現在、この里山には、雌雄2羽のサシバが飛来しているようです。

もう直ぐ営巣して子育てを始めることでしょう。


繁殖のため日本の里山に春先にやって来る中型のタカ、サシバは、国内中部以北で繁殖し、沖縄諸島や台湾近辺で越冬します。

繁殖地を出発点として飛び立ったサシバは、越冬のため南下し石垣島や沖縄などにたどりつきます。

翌年春に入る前に石垣島などを出発したサシバは、南下したルートをほぼ正確にたどり、出発点にたどりついくことが、人工衛星を使った追跡調査で判明しているようです。

サシバは、精確に元の場所に行ったコースを逆行して戻ってくるのだそうです。

この里山サシバは、昨年もこの地区で営巣したようです。

サシバは、絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト) に分類される稀少な鷹で、全長は、47cm(オス)51cm(メス)で中型の鷹です。

サシバは、ツバメのように春に日本にやってきて産卵し、子育てして、秋には大群となって渡っていく渡り鳥です。秋には集まったサシバの大群が上昇気流に乗ってらせん状に高く舞い上がった状態のタカ柱をみることができます。とても見事なものです。

サシバは、ハチクマなどとともにタカ柱をつくる代表的な鷹の一つです。

でも、谷津田里山環境が開発によって減少し、餌のヘビ、カエルなども激減しているためサシバの生存環境が悪化して絶滅が危惧される鷹になってしまいました。

事実、最近、この付近の林の木が伐採され太陽発電の機材が設置されここでも自然環境が悪化してしているようです。

我孫子周辺で今年もサシバが繁殖してくれるのは嬉しいのですが、この環境がいつまで保たれていくのか心配です。






参考:秋に南方に帰るサシバ(長野県松本市奈川,白樺峠にて撮影)

参考:秋に南方に帰るハチクマ(長野県松本市奈川,白樺峠にて撮影)