なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

手賀沼遊歩道脇のれんげ畑

手賀沼遊歩道脇にれんげ畑を見つけました。

れんげ畑を見るとなぜか懐かしく、子供の頃が思い出されます。

そこで、金子みすゞの詩と森鴎外の小説「ヰタ・セクスアリス」からの文章をご紹介します。



仲なおり    金子みすゞ


げんげのあぜみち、春がすみ、
むこうにあの子が立っていた。

あの子はげんげを持つていた、
私も、げんげを摘んでいた。

あの子が笑う、と、気がつけば、
私も知らずに笑ってた。

げんげのあぜみち、春がすみ、
ピイチク雲雀(ひばり)が啼いていた。



森 鴎外「ヰタ・セクスアリス」より


西隣に空地がある。石瓦の散らばっている間に、げんげや菫(すみれ)の花が咲いている。僕はげんげを摘(つ)みはじめた。暫(しばら)く摘んでいるうちに、前の日に近所の子が、男の癖(くせ)に花なんぞを摘んで可笑(おか)しいと云ったことを思い出して、急に身の周囲(まわり)を見廻して花を棄(す)てた。幸(さいわい)に誰も見ていなかった。


「げんげ」は、「レンゲ」のことです。実は、「げんげ」が本来の言葉だそうです。「げんげ」の花が「蓮」の華に似ているので「蓮華草」と言われるようになったとのことです。

なぜか懐かしさを感じる「れんげ畑」です。