なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

羽を少し広げ威嚇するチゴモズの囀り

松之山温泉付近の雑木林では、カッコウホトトギスの声が聞こえてきます。

その中に夏鳥として渡来するチゴモズの鳴き声も聞こえています。

チゴモズは、近年とても数を減らしている野鳥で、環境省レッドリストで「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」である絶滅危惧(ぜつめつきぐ)IA類(CR)に指定されています。

普通のモズより少し小さく全長19cmでスズメくらいの鳥のため稚児百舌(ちごもず)と言われています。頭は青灰色でクチバシか ら黒い下眼線があります。背と尾は 茶褐色をしていて「のど」から「おなか」にかけては汚白色です。

その分布は、ロシア極東沿岸部から朝鮮半島、中国北東部とのことで、日本で繁殖し東南アジアで越冬するそうです。

チゴモズは、普通のモズのような留鳥(りゅうちょう)ではなくて、夏鳥(なつどり)として4月下旬から5 月上旬に渡来し、本州中部から北部の平地から山地で繁殖するようですが、局地的で、約40年前ころから数を減らして今ではとても珍しい鳥となっているようです。

チゴモズを撮影するだけでも大変なのですが、羽を少し広げて自分を大きく見せかけ威圧するように縄張り宣言するチゴモズの雄を撮影できるチャンスはめったにないそうです。

このことは、前日、同宿の宿の夕食時に知り合い、ご好意で今朝の朝食前だけ私に同行していただいたプロ鳥類写真家の浅見ベートーベン・スミス氏から教えていただきました。

ちなみに同氏は、過去44年間で43カ国約2000種類の野鳥を撮影し、ニコンの自然科学部門でニッコール大賞を受賞し、「野鳥写真撮影のプロテクニックのKIndle版」を何冊も出版されている方です。

今回、幸運にも朝食前のほんの短い時間にチゴモズ雄が高い木のてっぺんにやってきまてくれました。

チゴモズは、あたりを見回し威嚇するように囀り始めました。

私の横で撮影していたプロの野鳥写真家の浅見氏は、これを見逃さず連写し始め、続いて私も連写することができました。

おかげで何とかチゴモズの「縄張り宣言する囀りの瞬間」を撮影することができました。

実は、この撮影は、私の所属する「我孫子野鳥を守る会」の探鳥のベテランが、前日のチゴモズの下見で見当を付けてくれていた場所の情報とプロ写真家のチゴモス撮影のノウハウのご教示のおかげで貴重なチゴモズの囀りの瞬間に出会うことができたのでした。

思いかけなく、とても素敵な「人と鳥の良き出会い」を経験させていただきました。

関連した皆さまに感謝いたします。



「時鳥(ほととぎす) 鳴きたつ春の山辺には

        沓直(くつて)いださぬ 人や住むらん」

                   (新撰万葉集


注)くつてどり=時鳥(ホトトギス)の異名で、前世でモズに「くつ」を売ったのですが、モズはその代金をいまだに払っていないという故事からこの名があるようです。

そのためモズは春になると姿をかくすのですが、多分チゴモズは、普通のモズではないため、前世で「くつ」の代金を払っているため夏鳥として姿を現しているのかもしれません。

和歌の意訳;ホトトギスが春の山辺でしきりに騒ぎ立てているのは、「くつ」の代金を払っていない人が住んでいるため、督促するように鳴いているのかもしれません。
















羽を少し広げ威嚇するチゴモズの囀り

羽を少し広げ威嚇するチゴモズの囀り