なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

桐の梢でさえずるホオジロ

松之山付近には桐の木が点在しています。桐は、四月から五月の頃に薄紫色の花を咲かせます。

今、桐が一番華やかな時なのでしょうね。

桐の産地は、岩手県の南部桐、福島県会津桐などが有名ですが、新潟県の桐もよく知られているようです。

新潟県十日町の津南桐は豪雪地方で育つこともあり木目が詰まっていて質も最高級なのだそうです。

この松之山は、十日町市なので自生する桐は津南桐なのでしょうか?

ところで、桐は、古来より高貴な木のようです。

平安時代清少納言の随筆「枕草子」に「桐の花」は次のように描かれています。

「桐の花 紫に咲きたるは なほおかしきを 葉のひろごりさまうたてけれど 又こと木どもとひとしくいふべき にあらず もろこしにことごとしき名のつきたる鳥の これにし栖(す)むらむ 心ことなり まして琴につくりてさざまなる音の出でくるなどをかしきとはよのつねにいふべくやはある いむじうこそはめでたけれ」

(意訳)

桐の花が紫に咲くのは見事なものです。ひろがった葉のつきぐあいがぶざまのように思えますが、特別な木のようで、中国(唐)では鳳凰(ほうおう)がとまる木とのことです。また琴はこの木でつくり、さまざまな音をかきならすのだから、やはりふつうの木ではないのでしょう。


つまり桐にとまる鳥の鳳凰は、中国の伝説上の霊鳥なのでその鳥がとまる桐も特別な木なのです。

かって、桐紋は、鎌倉時代後期より皇室の紋章として使用され、五三の桐、五七の桐がありました。

その後、皇室から功のあった臣下に下賜され、さらに、家来に下賜されることによって広まっていったそうです。

たとえば、桐紋は、後醍醐天皇から足利尊氏へ、足利義輝から織田信長へ、正親町天皇から豊臣秀吉へ下賜されているようです。

明治以後は日本政府の紋にも使用されているようです。

今、松之山に自生する貴い木の桐に霊鳥ならぬホオジロがとまって囀っています。

一昨年も、この木にホオジロがとまって囀っていました。(参考写真)

多分、ホオジロは毎年この木にとまって囀っているのでしょう。

とすれば、松之山のホオジロの前世は鳳凰だったのかもしれませんね?


「聖人の 生れ代りか 桐の花」   (夏目漱石





参考写真:一昨年,松之山で撮影した桐の木の梢で囀るホオジロ