なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

悠然と空を飛ぶサンカノゴイ(山家五位)の連写40枚

5月29日印旛沼上空は薄曇(うすぐもり)。梅雨前(つゆまえ)の蒸し暑い朝でした。早朝は靄(もや)に霞んでいました。

早朝、印旛沼の棲家(すみか)のヨシ原から田んぼに出て何時間も採食していたサンカノゴイ(山家五位)は、満腹になったのか?近づく人に驚いたのか?やっとヨシ原に戻ってきました。

王者の風格をもつサンカノゴイは、ゆったりと羽を動かしながら左から右に飛翔しています。

時々、クチバシをあけて飛んでいるので、鳴きながら飛んでいるようですが、とても低い鳴き声のようで、ほとんど聞こえません。

右に飛んで、さらに右に舵(かじ)を切り印旛沼の堤防上空を横切り、ヨシ原に後姿(うしろすがた)のまま飛び込んで姿を消しました。

サンカノゴイを守ってくれる印旛沼の背の高いヨシが完全にその姿を消してくれました。

(参考写真として40枚飛翔連写写真の掲載の最後に2枚だけヨシ原に姿を消すサンカノゴイの写真を掲載します。)

今年もいよいよ本格的なサンカノゴイの飛翔する季節が始まりました。サンカノゴイは、身体から想像するよりも、よほど神経質な鳥なので、普段、姿を見ることはなかなかできません。繁殖時期のこれからがサンカノゴイの露出時間が増える時期なのです。

サンカノゴイは、体長70センチ、翼開長130センチもある大型のサギの仲間で、局地的に生息する希少種なので、環境省の絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。

山家五位の名は、江戸時代から記録されているとのことですが、本来、生息数が少なく当時から観察しにくい鳥だったようで、山の奥に棲むと思われてもいたようですが、命名の由来は山里深くに棲む鳥の意味ではなくて人里離れた田舎に住むゴイサギのような鳥ということのようです。

繁殖期には低く図太い声でブォーブォーとも、ボォーボォーとウシガエルより低い声を周囲に響かせます。

今頃の時期は印旛沼のヨシ原の中から日中でも何度も聞くことができます。

私は、頑丈そうなクチバシと力強い脚を晒(さら)して重戦車を思わせる濃いブラウンの複雑な縞模様(しまもよう)の羽をゆったりと動かしながら飛ぶサンカノゴイの勇ましい飛翔姿(ひしょうすがた)が大好きで、毎年この時期がくるのが待ち遠しくてたまりません。


山家五位(サンカノゴイ)の俳句は見当たりませんでしたので代わりに凄(すご)そうで不気味な(ぶきみな)五位鷺ゴイサギ)の俳句を示しておきます。



「稲妻や 闇も方行く 五位の声 」(いなずまや やみのかたゆく ごゐのこゑ)

           (松尾芭蕉


意訳:稲妻がしきりに閃き(ひらめき)、反対側の暗やみの中を五位鷺が不気味な声で鳴き立てながら飛び過ぎていきます。











































参考写真:以前撮影したヨシ原に姿を消すサンカノゴイ