8月は、セミの季節です。蝉しぐれが聞こえています。セミの鳴き声は、暑い夏をさらに暑く感じさせるのですが、この声を聴かないと真夏の感じがしませんね。
「やがて死ぬ けしきはみえず 蝉の声」 (松尾芭蕉)
一般的解釈:蝉はもうすぐ秋になればはかなく死ぬに決まって
いるのに、今は少しもその様子がなくやかましい
ばかりに鳴きたてていることだ。
たとえ短い命でも「今、ここ」を精一杯生きる生
の充実感を詠んでいます
蝉というものは、まあ、ジュージューと啼きたてて、ずいぶん神経をいらだてるもんだが、面白いといえば面白い。ジュージューと何も惜しまず、あとに残さない力を半分出すなんてことはない。小さな蝉の全部がジューになって出るですな。それを芭蕉が聞いた。聞くと芭蕉は理屈をいう。蝉はやがて死ぬのだが、今日死のうが、そういうことには蝉は頓着しない。持っておる全部を吐き出して、ジューとやるところに、いわれぬ妙がある。それを芭蕉が見たに相違ないのです。