なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

房総の村のコミスジ


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上の写真は、一眼レフキヤノンEOS7DマークⅡにCANON EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMを装着し手持ち撮影しました。

10月25日晴れ。抜けるような青空!

房総の村は、上天気です。

 

滑空と小さなはばたきを繰り返しながら、小さな蝶がひらひら飛んできて、シダの葉にとまりました。

すぐに羽をひろげました。

 

ミスジです。

 

ミスジは、濃茶色地に三本の白い帯を持つやや小さめのタテハチョウです。

 

黒い地色の上に白い3本のすじが入ったような斑紋が、ミスジという名前の由来だそうです。コミスジは小型のミスジチョウで、日本のミスジチョウ類の中で北海道から九州(対馬屋久島を含む)にいたる各地に最もふつうに見られる種類だそうです。

 

おだやかな秋の太陽光があたたかく蝶を照らしています。

静かな静かな森の径(こみち)です。

 

この径を歩いていると

薄田泣菫(すすきだきゅうきん)」の次の詩を思い出しました。

 


「ああ大和にしあらましかば 」   (薄 田 泣 菫)


ああ、大和にしあらましかば、
いま神無月(かみなづき)、
うは葉散り透く神無備(かみなび)の森の小路を、
あかつき露(づゆ)に髪ぬれて、往きこそかよへ、
斑鳩(いかるが)へ。平群(へぐり)のおほ野、高草の
黄金(こがね)の海とゆらゆる日、
塵居(ちりゐ)の窓のうは白(じら)み、日ざしの淡(あは)に、
いにし代の珍(うづ)の御經(みきやう)の黄金文字、
百濟緒琴(くだらをごと)に、齋(いは)ひ瓮(べ)に、彩畫(だみゑ)の壁に
見ぞ恍(ほ)くる柱がくれのたたずまひ、
常花(とこばな)かざす藝の宮、齋殿(いみどの)深に、
焚きくゆる香ぞ、さながらの八鹽折(やしほをり)
美酒(うまき)の甕(みか)のまよはしに、
さこそは醉(ゑ)はめ。

新墾路(にひばりみち)の切畑(きりばた)に、
赤ら橘(たちばな)葉がくれに、ほのめく日なか、
そことも知らぬ靜歌(しづうた)の美(うま)し音色に、

 


目移しの、ふとこそ見まし、黄鶲(きびたき)の
あり樹の枝に、矮人(ちひさご)の樂人(あそびを)めきし
戯(ざ)ればみを。尾羽(をば)身がろさのともすれば、
葉の漂ひとひるがへり、
籬(ませ)に、木(こ)の間(ま)に、──これやまた、野の法子兒(ほふしご)の
化(け)のものか、夕寺深(ゆふでらふか)に聲(こわ)ぶりの、
讀經や、──今か、靜こころ、
そぞろありきの在り人の
魂(たましひ)にしも泌み入らめ。

日は木(こ)がくれて、諸(もろ)とびら
ゆるにきしめく夢殿の夕庭寒(ゆふにはさむ)に、
そそ走(ばし)りゆく乾反葉(ひそりば)の
白膠木(ぬるで)、榎(え)、楝(あふち)、名こそあれ、葉廣(はびろ)菩提樹
道ゆきのさざめき、諳(そら)に聞きほくる
石廻廊(いしわたどの)のたたずまひ、振りさけ見れば、
高塔(あららぎ)や、九輪の錆(さび)に入日かげ、
花に照り添ふ夕ながめ、
さながら、緇衣(しえ)の裾ながに地に曳きはへし、
そのかみの學生(がくじやう)めきし浮歩(うけあゆ)み、──
ああ大和にしあらましかば、
今日神無月、日のゆふべ、
聖(ひじり)ごころの暫しをも、
知らましを、身に。


秋も深まりつつあり、文学に親しみやすいシーズンの到来ですね。

 

喫茶去

ハイフェッツ アンコール

を聴く


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ポール・ヴェルレーヌ Paul Verlaine

の秋の詩、Chanson d'automne

上田敏訳詞

 

 秋の日の ヴィオロンのためいきの
 身にしみて ひたぶるに うら悲し

 鐘のおとに 胸ふたぎ
 色かへて 涙ぐむ 過ぎし日の  おもひでや

 げにわれは うらぶれて

 ここかしこ さだめなく
 とび散らふ 落葉かな、、、。


ヴェルレーヌの「秋の歌(落葉)(Chanson d'automne)」は1866年に出版されたヴェルレーヌの処女詩集『サチュルニアン詩集(Poèmes saturniens)』に所収された作品で、ヴェルレーヌが20歳の時に書いた詩だそうです。


この詩は日本では、上田敏の翻訳詩集『海潮音』(1905)に所収された名訳「落葉」で、広く知られるようになりました。


“ヴイオロン”はフランス語のヴァイオリンのことですが、上田敏の訳があまりに知れ渡っているので、“ヴィオロン”とそのまま訳される方が多いようです。

 

 

 

今日は、秋の日和なので、

ハイフェッツの名人芸を聴いてみました。

胸のすく秋晴れの空のようなスカッとした演奏です。

 

 

 

ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツによる「ホラ・スタッカート」を収録したCD。“カミソリのようだ”と称された鋭いスタッカート奏法を武器にしていたハイフェッツにとって、当盤所収の「ホラ・スタッカート」は、まさに名刺代わりの1曲。そのほかのショー・ピースも、完璧な技巧ときりりと冴えた歌い回しが楽しめる逸品揃い。 (C)RS

 

曲目リスト
3つの前奏曲 I.変ロ長調
3つの前奏曲 II.嬰ハ短調
3つの前奏曲 III.変ホ長調
オペラ「ポーギーとベス」より サマータイム
オペラ「ポーギーとベス」より 女は気まぐれ
オペラ「ポーギーとベス」より うちの人は逝ってしまった
オペラ「ポーギーとベス」より そんなことはどうでもいいさ
オペラ「ポーギーとベス」より ベスよ、お前はおれのもの
オペラ「ポーギーとベス」より ブルースのテンポで
庭園の場~劇音楽「空騒ぎ」より
東洋のスケッチ Op.2-2
ひなぎく Op.38-3
行進曲 ~「3つのオレンジへの恋」より
アヴェ・マリア D.839
剣の舞い ~組曲「ガイーヌ」より
古きウィーン ~「30日物語」より
歌の翼に Op.34-2
ホラ・スタッカート
レントよりおそく
花火のワルツ ~2つのバレエのアリア 第2番
プレスト 変ロ長調
エストレリータ
サパテアード Op.23-2 (スペイン舞曲 第6番)
ヴォカリーズ Op.34-14
バンジョーとヴァイオリン
ヘブライの旋律 Op.33
スケルツォ・タランテラ Op.16