なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

乗鞍高原の宿の周りの鳥と植物

白樺峠(しらかばとうげ)は、上高地乗鞍林道(かみこうちのりくらりんどう)の最高地点(標高1600M)にあります。白樺峠の鷹の撮影の後、9月20日午後4時に通行止め解除の林道を通って乗鞍高原(のりくらこうげん)に向かいました。

乗鞍高原は、飛騨山脈北アルプス)南部東側に位置する高原で観光利用が盛んであり、夏は避暑、夏から秋にかけては登山、冬はスキーを目的とする観光客が多く訪れるそうです。また複数の温泉が湧出しているとのことです。この高原は、乗鞍岳から東麓に流出した溶岩によって形成された東西に細長い山麓高原で、西半部(高標高側)は中部山岳国立公園内に入ります。西端の最高所で約1800m、東端の最低所で約1100mという標高があり、夏でも気候は冷涼のようです。

滝見館(たきみかん)

9月20日は、乗鞍高原温泉にある山のお宿「滝見館」に宿泊しました。施設は古さはありますが、硫黄の臭いの漂う白濁した内風呂と露天風呂があり、なかなか良い温泉でした。イワナのお刺身、ホクホクのニジマスの塩焼き、など、料理は最高でした。手作りというヤマブドウの食前酒もおいしかったです。値段も安く大満足のお宿でした。

翌日の朝、宿の近くを散策しました。山道には名も知らぬ植物もあり、白樺林の合間にツリバナの赤い実が緑に映えます。爽やかな秋の気配が感じられます。

鳥たちの鳴き声を頼りに山道を少し歩くと、小鳥の混群に出会いました。コガラ、ヒガラ、ゴジュウカラエナガなど、キツツキのドラミングの音も聞こえます。

落葉松(からまつ)の実をしきりに食べるコガラやヒガラたちが、枝から枝に忙しく飛びはねています。

初秋の山の柔らかい景色に堪能した散策でした。


何故か、北原白秋の「落葉松」の詩を思い出しました。



落葉松   北原白秋


からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。

からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。

からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。

からまつの林の道は、
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。

からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。

からまつの林を出でて、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。

からまつの林の雨は
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。

世の中よ、あはれなりけり。
常なれどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。





山のお宿「滝見館」

白樺林

ウメバチソウ

ツリバナの実

アジサイの仲間?

落葉松の実を食べるコガラ

白樺の木にとまるゴジュウカラ

ズミの木の枝にとまるコガラ幼鳥?

落葉松の枝にとまるコガラ

落葉松の枝にとまるエナガ