なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

金木犀(きんもくせい)

神無月(かんなづき)、何処からともなく甘い香りが漂ってきます。金木犀(きんもくせい)の香りです。初春の沈丁花(じんちょうげ)の香りに匹敵する秋の香りです。

私の子供のころ過ごした家の庭にも金木犀の木がありました。秋になるとそのふんわりした香りが、子供心にも秋を感じさせてくれました。

今住んでいる家の庭にも金木犀が植えてあります。小さな苗木だったのが大きな木に育っています。最近、家の窓を開けると、この甘い香りが、眠気をさましてくれます。

金木犀の名前の由来は、樹皮の様子がサイ(犀)の皮膚に似ており金色の花を咲かせるので金木犀と名づけられたそうです。中国では丹桂、金桂、桂花と呼ばれるようです。


「木犀の香にあけたての障子かな」  (高浜虚子





閑話休題ー桐一葉(きりひとは)」


秋を代表する木に、桐(きり)もあります。

明治時代の小説家、坪内逍遥(つぼうちしょうよう)の戯曲「桐一葉」の六幕で、戦国武将の片桐 且元(かたぎり かつもと)が、桐の木から、一枚の葉が落ちるのを見て「はて、ぜひもなき定めじゃなあ」と言う。

これは、紀元前に編集された中国の思想書「淮南子(えなんじ)」に「一葉落ツルヲ見テ、歳ノマサニ暮レントスルヲ知ル」(一枚の葉が落ちたことにより秋を察知する)ということから、秋はわびしく凋落(ちょうらく)の感じがあるので転用され、今では、「桐一葉落ちて天下の秋を知る」という「人生の凋落の前兆(ぜんちょう)を意味する」慣用句になっています。


「桐一葉 日当りながら 落ちにけり」  (高浜虚子


金木犀も桐も秋の代表的な木といえますね。でも、中国の桐は、日本の桐ではなくアオギリのようで、日本では、誤認されているそうです。