秋の七草のひとつ「萩の花」が、咲いています。緑の葉っぱに淡い赤紫の花が可憐な風情を感じさせます。
秋の七草は、言い伝えで、山上憶良(やまのうえのおくら)が、万葉集第8巻に秋を代表する七種の草花を歌に詠みこんだことからきていると言われています。
「 秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 」 巻8の1537
「 萩の花 尾花葛花(くずはな) なでしこの花
おみなえし また 藤袴(ふじばかま) 朝顔の花 」 巻8の1538
二首で一組になっていて、朝顔は現在の桔梗(ききょう)とされています。
萩の花は、秋の七草の最初に歌われるているほど、あちこちの野辺でよくみかけます。
木か草かわからないようなこんもりした萩のあたりに、黒字に白い線の入ったチョウが、数回羽ばたいては水平に翅を広げて一瞬停止し、また数回羽ばたいてから水平に広げて一瞬停止するような、とても変則的な飛び方をしています。 タテハチョウ科のコミスジです。
黒い地色の上に白い3本のすじが入ったような斑紋が、ミスジという名前の由来だそうです。コミスジは小型のミスジチョウで、日本のミスジチョウ類の中で北海道から九州(対馬、屋久島を含む)にいたる各地に最もふつうに見られる種類だそうです。
コミスジは、萩の葉にとまったり、地面に降りたりと、忙しげに動き回っていました。
今年は、この時期に真夏日が続いていますが、萩の花のまわりを、蝶々が飛ぶのを見ていると、なんとなく秋も深まっていく気配も感じられます。