なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

師走のルリビタキ

もう今日は、大晦日(おおみそか)。今年最後のブログになりました。本年も拙(つたな)いブログを見ていただき、とても感謝しています。

ありがとうございました。

来年もご贔屓(ひいき)のほど、よろしくお願いいたします。

さて、今年最後を飾る野鳥は、ルリビタキ(オス)です。
12月30日撮影の田んぼを流れる小川のルリビタキです。

水路の中にある枯れ木や枯草に立ち止まりながら、川に沿って、飛び跳ねていました。

可愛い目をクリクリさせながら楽しげに移動していました。








閑話休題樋口一葉の短編小説「大つごもり」



「大つごもり」は、大晦(おおつごもり) とも書きます。大晦日(おおみそか)のことです。英語で言えば、the last day of the year; New Year's Eve となります。

今年の夏ごろ、NHK BSブレミアムで、「山田洋次監督が選ぶ100本」と題して1953年の日本映画 「にごりえ」を再々放映していました。

この映画は、樋口一葉(ひぐちいちよう)の短編小説「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」を原作とするオムニバス映画です。

真夏の時の放映でしたが、今井正監督のこのモノクロ作品は、とても見ごたえのある作品でした。冒頭に出てくる美しい明治の街並みは、夢の風景のように幻想的で素敵な雰囲気を醸し出していました。明治・大正・昭和とめぐりゆく日本の風景は、淡い郷愁を感じてしまいます。

今日は、大晦日(おおみそか)なので、映画「にごりえ」の第2話「大つごもり」について書いてみます。

ウィキペディア 「大つごもり」によれば、(省略、加筆編集しています)
 
「大つごもり」(おおつごもり)は、樋口一葉の短編小説で1894年(明治27年)12月、「文學界」第24号に発表されました。1896年(明治29年)には「太陽」(博文館)に再掲載されています。貧乏のもとに生まれた人たちが背負っていかなければならない人生を描いており、一葉の貧困生活の体験から生まれた作品となっています。

その「あらすじ」は、

18歳のお峰が山村家の奉公人となってしばらくした後、お暇がもらえたため、初音町にある伯父の家へ帰宅してみると、病気の伯父から、高利貸しから借りた10円の期限が迫っているのでおどり(期間延長のための金銭)を払うことを頼まれ、山村家から借りる約束をしてしまいます。

総領である石之助が帰ってきますが、石之助とご新造(奥様)は仲が悪いため、機嫌が悪くなり、お峰(みね)はお金を借りる事ができませんでした。そのために、大晦日に仕方なく引き出しから1円札2枚を盗んでしまいます。

その後、大勘定(大晦日の有り金を全て封印すること)のために、お峰が2円を盗んだことが露見しそうになってしまいました。お峰は伯父に罪をかぶせないがために、もし伯父の罪にとなったら自殺をする決心をしました。ところが、哀れに思った石之助は、残った札束ごと盗っていき、すべて自分の罪にしてしまったのです。

[映画「にごりえ}第2話「大つごもり」登場配役]

お峰- 久我美子: 資産家の家に奉公している女中。
安兵衛 - 中村伸郎: みねの伯父。病に伏せている。
しん - 荒木道子: 安兵衛の妻。
山村石之助 - 仲谷昇: みねの奉公先の放蕩息子。
山村嘉兵衛 - 竜岡晋: 石之助の父。資産家。
山村あや(ご新造) - 長岡輝子: 石之助の継母。けちで気分屋。前妻の息子・石之助を疎ましく思っている。
山村家次女 - 岸田今日子
車夫 - 北村和夫

女優の久我美子(くがよしこ)の「お峰」は、貧しさの中にも品のある美しいヒロインで、樋口一葉を偲ばせる素晴らしい演技でした。とても若い岸田今日子北村和夫も初々(ういうい)しいし、仲谷昇の石之助もインテリで人の良い放蕩息子(ほうとうむすこ)を演じ、味のある好演義でした。

ここに描かれる明治女性の生きる厳しさは、今に生きる私たちに何を訴えかけるのでしょうか?

お正月休みに美しい文体の樋口一葉の「大つごもり」の原文を読んでみるのも一興かと思います。


ご参考までに、原文を青空文庫より「冒頭のほんの一部」だけ引用します。 


井戸は車にて綱の長さ十二尋(ひろ)、勝手は北向きにて師走(しはす)の空のから風ひゆう/\と吹ぬきの寒さ、おゝ堪えがたと竈(かまど)の前に火なぶりの一分は一時にのびて、割木(わりき)ほどの事も大臺(おほだい)にして叱りとばさるゝ婢女(はした)の身つらや、はじめ受宿(うけやど)の老媼(おば)さまが言葉には御子樣がたは男女(なんによ)六人、なれども常住内にお出あそばすは御總領と末お二人、少し御新造(ごしんぞ)は機嫌かいなれど、目色顏色呑みこんで仕舞へば大した事もなく、結句おだてに乘る質(たち)なれば、御前の出樣一つで半襟半がけ前垂の紐にも事は缺くまじ、御身代は町内第一にて、その代り吝(しは)き事も二とは下らねど、よき事には大旦那が甘い方ゆゑ、少しのほまちは無き事も有るまじ、厭(や)に成つたら私の所(と)こまで端書一枚、こまかき事は入らず、他所(よそ)の口を探せとならば足は惜しまじ、何れ奉公の祕傳は裏表と言ふて聞かされて、さても恐ろしき事を言ふ人と思へど、何も我が心一つで又この人のお世話には成るまじ、勤め大事に骨さへ折らば御氣に入らぬ事も無き筈と定めて、かゝる鬼の主(しゆ)うをも持つぞかし、・・・

(後は省略:この続きは「青空文庫の大つごもり」をご覧ください。)

良いお年をお迎えください。有難うございました。