早朝、手賀沼に係っている、漁業用桟橋(ぎょぎょうようさんばし)の鉄パイプに、水辺の宝石、カワセミがフワッとやってきました。
ここから下にいる魚を狙おうとしています。
カワセミブルーの羽が朝日を浴びて翡翠色(ひすいいろ)に輝いています。獲物を狙う鋭い目も光っています。緊張があたりの空気を引き締めているように感じます。
カワセミは、私のいる場所から数メートルも離れていません。私に気付いていないようです。
私の押したシャッター音が、あたりの静寂を破りました。
カワセミは、驚いてこちらを振り返り、目がキラリと光りました。
俊敏なカワセミは、青い糸をひくような光線になって、桟橋の下をかすめて飛び去っていきました。
桟橋の下にいつも休んでいるシナガチョウが、何事もなかったかのように、スィーと通り過ぎて、のんびりした朝の手賀沼に戻りました。
「はつきりと 翡翠色に とびにけり」 (中村 草田男)