北柏ふるさと公園の枯れ木にベニマシコがやってきました。なんの前触れもなくやってきたので、メスもいたのですが、オスしか撮れませんでした。
とまっても,すぐに飛び去って行きました。
ハヤカワノベルの光瀬龍「百億の昼と千億の夜」を最初に読んだのは、50年以上前のことです。友人から、面白いといわれて読んでみました。
当時は、興福寺の阿修羅像を初めて見たばかりで、阿修羅王が大活躍するSF小説は、胸をときめかせた記憶があります。
ネットのハヤカワ・オンラインの説明によれば
西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安を覚えた……プラトン、悉達多、ナザレのイエス、そして阿修羅王は、世界が創世から滅亡へと向かう、万物の流転と悠久の時の流れの中でいかなる役割を果たしたのか?――壮大な時空間を舞台に、この宇宙を統べる「神」を追い求めた日本SFの金字塔。解説=押井守
と書かれていて、今でも文庫本で買うことができます。
じつは、この本は、私にとっては何か不思議な本なのです。
そんな昔に読んだ本なのに、50年後に文庫になった本を偶然見つけて懐かしくて購入しました。
購入したものの、読まずに積んでいるうちにどこかに紛れて、この本のことは、忘れ去っていました。
ところが、今年になって、前にこの小説を薦めてくれた友人と電話で話していたら、この本の名前がでてきました。
この小説に出てくる「ディラックの海」の話題でした。「そんな海は知らないよ。」といったら、この本に書いてあったというのです。
「そういえば、その本はなくしたので、見れない。」というと、「去年NHKが放映した「神の数式 完全版」を見たか?」と聞かれたので、「見てない。」というと、後日、ブルーレイ・ディスクに録画した「神の数式 完全版」が送られてきました。
中身を見てみたら、現代物理学の内容で、「ディラック方程式」から「ヒッグス粒子」や、「超弦理論」などのお話でした。
ディラック方程式で、電子のエネルギーを求めると、マイナスになり、エネルギーがマイナスになるのは普通の世界では、とても変なのですが、私たちが真空と考えている状態が、マイナスのエネルギーを持つ電子で埋め尽くされた「海」になっていると考えると辻褄(つじつま)があうそうです。
あらためて「百億の昼と千億の夜」の文庫本を探してみると、出てきました。そこで、「ディラックの海」を探してみると最終章「遠い道」に書かれていました。
「あしゅらおう、虚数空間(きょすうくうかん)に接触するとどうなるだろう?」
「完全な無が生まれるだろう、そこに。エネルギーはその無を造り出すために消費され、マイナス・エネルギーがその無の周囲を殻のようにとり巻くことだろう。そのかぎりないマイナス・エネルギーの広がりを、「ディラックの海」と古人は呼んだ」
もうすでに故人となっている光瀬龍氏は、そんな時代にディラック氏(「シュレディンガー方程式」に「アインシュタインの相対性理論」を組み込むことに成功した物理学者)の物理学の本を読んでいたんだなあと感心してしまいました。
さらに、私は、この小説を読んでも「ディラックの海」など気にならなかったのですが、わが友は、気にとめていたのだなあと感心してしまいました。
でも、今度は、私が心にとめておく文章がその後の文章にありました。
あじゅらおう。「色(しき)」はすなわち存在。「空(くう)」は、「ディラックの海」「空即是色(くうそくぜしき)」すなわち、マイナス・エネルギーの海がすべての存在の母胎であることに気がついてくれたことであろう。
この本は、私に何を語っているのでしょうか?
不思議?不思議?。