緑陰の渓流の梢(こずえ)からクロツグミの綺麗な鳴き声が聞こえます。
高村光太郎は、 鳴き声をこのように聞きなしています。
クロツグミ
作詩 高村 光太郎
クロツグミなにしゃべる。
畑の向うの森でいちにちなにしゃべる。
ちょびちょびちょびちょび、
ぴいひょう、ぴいひょう
こっちおいで、こっちおいで、こっちおいで、
こひしいよう、こひしいよう、
ぴい。
おや、さうなんか、クロツグミ
北原白秋も
「黒鶫(くろつぐみ) 野辺にさへずり 唐辛子(とうがらし)
いまし花さく 君はいずこに 」
などと詠んでいるようにクロツグミの鳴き声は素晴らしいようで、日本三鳴鳥(ウグイス、オオルリ、コマドリ)には入っていないのですが、文人によく詠まれているようです。
そんな鳴き声が聞こえる緑陰の渓谷の河原にクロツグミが2羽やってきました。
オスとメスのようです。
オスは目立つところに出てくれるのですが、メスはオスの近くに見え隠れしているのですが、なかなか姿を見せません。
オスは、さも忙しそうに、河原の倒木や大きな石の上を飛び跳ねて移動し、地面の落ち葉などをクチバシで飛ばしながら、ミミズや昆虫類を探して採食しています。
クロツグミは英名、Japanese Grey Trush と言われるように、主に日本の山間部で繁殖する夏鳥のようです。
また、クロツグミは、全長22cmでつぐみの仲間の中では最も小さいそうで。クチバシと足の黄色が印象的なツグミです。
オスメス並ぶのを待っていましたが、実現しませんでした。
少し遠出をしたので、メスの撮影は諦めて帰途につきました。