なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

虫を捕えたオオヨシキリ

草叢(くさむら)で何かの鳥がうごめいています。

どうもオオヨシキリのようです。

草の中を飛び跳ねて何かを狙(ねら)っています。

虫も逃げ回っているようで、オオヨシキリもその都(つど)度、飛び跳(は)ねているようです。

何か虫を捕(つか)まえたようです。

得意そうな顔が草陰にチラット見えました。

こちらを向いて、大観得(おおみえ)を切っているようです。

千両役者(せんりょうやくしゃ)のオオヨシキリです。

狩りを終えたオオヨシキリは、虫をくわえて飛び去っていきました。




「行々子(ぎょうきょうし)
     大河(たいが)は しんと流れけり」
   
              (尾林一茶)







閑話休題ー「愛染かつら」と「旅の夜風」と「ほろほろ鳥」


大阪の夏祭りのひとつに、今頃開催される「愛染(あいせん)まつり」(愛染祭り)があります。


この愛染まつりは、6月30日から7月2日まで大阪の勝鬘院(しょうまんいん)で開かれるそうです。 連日18時より芸能大会や祭り囃子などが演じられ、梅雨空を吹き飛ばす勢いで、一足さきに夏祭りが開催されます。

愛敬(あいきょう)・人気・縁結び(えんむすび)の神さま、愛染さん(愛染明王)の夏祭りです。

秘仏(ひぶつ)愛染明王(あいせんみょうおう)大日大勝金剛尊(だいにちだいしょうこんごうそん)の特別ご開帳(ごかいちょう)をはじめ、紅白の布と「愛染かつら」の花などの造花で飾った宝恵駕籠(ほえかご)に浴衣姿(ゆかたすがた)の愛染娘たちを乗せて、愛染女組、男組らとともに「愛染さんじゃ〜!ホ・エ・カッ・ゴ〜(GO!)」の掛け声とともに谷町筋を練り歩く初日のパレードも人気とのことです。

愛染というのは、真言密教(しんごんみっきょう)の愛染明王という神様の名前からきています。愛染明王真言マントラ)は、「ウン・シッチ・ソワカ」というそうです。

愛染明王は、もともとは、インドの神様「ラーガ」とのことで、ラーガの意味は、「愛着」とか「信愛」の意味とのことです。

この神様の外観は忿怒(ふんぬ)の形相(ぎょうそう)で怖(こわ)そうな姿なのですが、内心はやさしい愛の神様と言われていますす。これを逢い初め(あいぞめ)とか愛敬とかんがえて、花柳界(かりゅうかい)や劇界(げきかい)の人たちの信仰となったようです。


ところで、昭和の初めころ映画「愛染かつら」とその主題歌「旅の夜風」が大ヒットしたようです。この愛染も愛染明王からきています。

ウィキペディアによれば、

愛染カツラ(あいぜんカツラ)は、長野県上田市別所温泉北向観音境内に生育するカツラの巨木(雄株)である]。推定の樹齢は300年以上、600年から650年、1000年以上などの諸説があり、慈覚大師円仁と千手観音にまつわる伝説が残されている。

この木が世に知られる契機となったのは、川口松太郎の小説『愛染かつら』である。川口はこのカツラの木と木に隣接する愛染明王堂に着想を得て、1編の恋愛ドラマを書き上げた。小説及びこれを原作とした映画の大ヒットによって、この木も「愛染カツラ」と呼ばれるようになっている。

とのことで「愛染かつら」は、川口松太郎(かわぐちまつたろう)の「創作による言葉」なのです。

戦前の話なので私の生まれていない時代のことなのですが、歌の「旅の夜風」はとてもよく知っています。

というのは、子供の頃、テレビの「なつかしのメロディ」で、霧島昇(きりしまのぼる)が歌っている場面を何度も見ていたので、子供の私も意味が分からないままその歌を覚えてしまったのです。

でも、ここにでてくる「ほろほろ鳥」は今となっては、少し気になりますね?



           旅の夜風     


              作詞:西条八十 作曲:万城目正
    歌唱:霧島昇・ミス・コロムビア(松原操)
   


 ♪
  花も嵐も 踏み越えて
  行くが男の 生きる道
  泣いてくれるな
  ほろほろ鳥よ
  月の比叡を 独り行く

 
  優しかの君 ただ独り
  発たせまつりし 旅の空
  可愛い子供は 女のいのち
  何故に寂しい 子守歌

 
  加茂の河原に 秋長(た)けて
  肌に夜風が 沁みわたる
  男柳が なに泣くものか
  風に揺れるは 影ばかり

 
  愛の山河 雲幾重
  心ごころを 隔てても
  待てば来る来る 愛染かつら
  やがて芽をふく 春が来る



この歌にでてくる「ほろほろ鳥」ですが、この鳥を詮索(せんさく)しないほうがよさそうです。

作詞した西条八十(さいじょうやそ)氏の話では、

「1番の「ほろほろ鳥」なんて京都にはもちろんいない。うらがなしい鳴く音の鳥を描きたくなり、琵琶歌(びわうた)の「石童丸(いしどうまる)」の中の「ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば・・・」から「ほろほろ鳥」という名を思いつき使った。」

とのことで、「ほろほろ」と調子がいいので書いてしまった「詩人の創作」だったようなのです。



この戦前の映画は、「日本映画専門チャンネル」のアーカイブで最近、見ることができました。



     愛染かつら(総集編) 昭和13年(1938年) 松竹大船


原作:川口松太郎 監督:野村浩将 音楽:万城目正出演:田中絹代上原謙佐分利信
   
                    
この映画は、戦後の「君の名は」とともに絶大な人気を誇った“すれ違いメロドラマ”の代表作で
前編・後篇・続編濡・完結編と続き、これら4編をまとめたのが総集編で、子持ちの未亡人看護婦・高石かつ枝(田中絹代)と青年医師・津村浩三(上原謙)が恋におち、身分の違いや子どもの病気、様々なすれ逢いといった障害を乗り越えて、ついに結ばれるまでをまとめています。

モノクロの映画ですが当時の風景が面白いですねぇ〜

ボンネットバスが走っているし、当時の病院や看護婦さんの様子も・・・

お話は、今となっては、大したことはないメロドラマの感じですね。
戦前は流行(はや)ったのかもしれませんが、今は昔のお話のように感じました。

それでも、「旅の夜風」の歌は、いまでも大好きです。