梅雨空のどんよりした曇り空の下、手賀沼の岸辺でオオバンの親子を見つけました。
のんびり遠足に来ているような風情です。
子供も親と同じくらい大きく育ちました。
オオバンの親が子供の後ろにまわってお尻をクチバシでつつき追いかけはじめました。子供は必死に逃げ回ります。
子供は、泣き叫んでいるようです。
こんな遊びをしながら、子供たちもたくましく成長していくのでしょうね。
オオバンの親子も元気いっぱいです。
ベートーヴェンの交響曲第1番〜9番までは、どれも名曲でこの全曲を集めたセットをベートーヴェンの「交響曲全集」といいます。
一般に、ベートーヴェンの交響曲全集を録音できるのは、実力のある著名な指揮者に限られますが、すでに多くの指揮者が多くの録音を残しています。
そのため、私もベートーヴェンの交響曲全集は、いろいろな指揮者とオーケストラの演奏のCDで持っています。
でも、市販しているCDは、続々でてくるので、とても買いきれませんが、
トスカニーニをはじめとして、フルトヴェングラー、ワルター、メンゲルベルク、アンセルメ、コンヴィチュニー、シューリヒト、クレンペラー、セル、クリュイタンス、カラヤン、朝比奈、マズア、ミンシュ、アーノンクール、ヴァントなど16人の指揮者たちの録音の全集は持っています。(チェリビダッケは、全集ではないのですが、1番以外の2番から9番までは全部持っています。)
最近(5月〜6月)、毎日毎日よく聴いていたのは、アーノンクール指揮の全集とヴァント指揮の全集です。
この二人の指揮者の演奏は、比較的新しいので録音も優秀です。
まあ、ベートーヴェンの交響曲全集を出せる指揮者は、かなりの実力者なので、どの演奏をとっても大抵は満足する演奏です。
最近、聴いていたアーノンクールやヴァントの演奏もかなり気に入って聴いていました。
でも、何か物足りないので、いつもこの交響曲の試聴の基準にしているトスカニーニの全集を取り出して聴こうとしましたが、いつも聴いているCDがすぐに見つけられません。
やむなく、一昨年前に買った「トスカニーニ大全集(85枚組)」の中から一番最初に収録されているベートーヴェンの交響曲第3番と第1番のCDを取り出して聴いてみました。
びっくりしました! 音がとてもいいのです。
いつも聴いているトスカニーニの音ではないのです。トスカニーニ大全集は85枚組なので全部を聴くのに相当な時間が必要となります。そのため、ベートーヴェンの交響曲は、飛ばして他の曲を聴いていたので、一昨年前に買ったにもかかわらず、このCDはまだ聴いていませんでした。
もう40年以上前のことですが、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を最初に買ったLPが、トスカニーニ指揮NBC交響楽団の「アメリカの廉価盤」のLPでした。
このLPのジャケットは粗末なボール紙で、その印刷のデザインもLPの材質も悪く、かなり貧弱な音だったと記憶しています。
それでも、その数年前のFM放送で、村田武雄さん解説の「トスカニーニ・アワー」でこの演奏を聴いていたので、その解説を思い出しながら、この貧弱な音のLPを毎日のように聴いていました。もちろんモノラルの再生装置です。
当時は、とても貧弱な音だったのですが、それでも、毎日感動して聴いていました。
それ以来、何度も出た正規のRCAのLPを何回も買って、その都度聴いていました。
その後CDになり、全集が出るたびにまた何回も買い替えて聴きました。
そんなわけで、この演奏は私にとっては、もう体にしみついている演奏なのです。
それなのに、こんなにいい音は初めて聴いたのです。 驚きました!
聴いているうちにだんだん嬉しさがこみ上げてきました。
この演奏の記録を見てみるとどうも最新のデジタルリマスタリングがしてあるようです。
調べてみると、どうも、2007年から2009年にかけての3年間は、トスカニーニの正規録音のリマスタリングにおいて、画期的な時期であったようなのです。
その時期は、ソニーのエンジニアであるアンドレアス・マイヤー氏がノイズだらけだったフィラデルフィア・レコーディングスをよみがえらせた「リマスタリング盤」を作ったり、ビクタークリエイティブメディアのマスタリングエンジニア杉本一家(すぎもとかずいえ)氏がマイヤー氏とともにXRCD化したCDを作った時期だったのです。
XRCD化は膨大な時間をかけてオリジナルマスターテープの生の音を最適化して市販CD化するというもので、この作業は、アナログ信号をデジタル信号に変換してエラーの修復にかける膨大な手間と時間とそのために使用する機材の高価さが半端ではなく、しかも最初から最後まで徹底して24bitクオリティで行われる職人仕事のようなのです。
トスカニーニのXRCDは日本のファンと一部海外のマニアに対してようやく行き届いたに過ぎず、海外ではXRCD盤の存在すら知らなかったファンも多かったようです。
このXRCD化されたCDは、とても高価なので私は購入してはいませんでした。
でもこの大全集の宣伝文を注意深く読んでみると、トスカニーニ大全集は、XRCD盤とほぼ同等な音で聴けそうなのです。
この大全集の宣伝のコピーを以下に掲載します。
アルトゥーロ・トスカニーニ・コンプリートRCAレコーディングズ
■枚数:84CD+1DVD=85枚組
■仕様:外箱は蓋つきのカードボード製キャップボックス、各ディスクはダブル紙ジャケットに収容(オリジナルLPジャケット・デザインではありません)
■CDサイズのハードカヴァー別冊解説書付き
グールド、ホロヴィッツ、ハイフェッツ、そしてルービンシュタインに続き、ソニー・クラシカルが放つヴィンテージ・アーティストのメガ・コンプリート・コレクション・ボックスは、イタリアの生んだ20世紀最大の巨匠指揮者、アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)です。ちょうど20年前(1992年)に発売された「アルトゥーロ・トスカニーニ大全集」の待望の再発売。トスカニーニの最晩年の録音にも関わったRCA名プロデューサー、故ジャック・ファイファーが全面的に監修・プロデュースした92年の「大全集」は、トスカニーニの全録音を初めてCD化したボックスセットで、トスカニーニの芸術を知る上での基礎資料となった重要なリイッシューとなりました。今回の発売にあたっては、紙ジャケット、キャップボックス仕様となり、大幅な省スペース化を実現。一部を最新のリマスターに差し替えることで音質面では万全を期しつつ、92年のセット発売時には含まれなかったCD2枚分(Disc83&84)のEMIへのBBC交響楽団とのセッション録音と、トスカニーニの生涯を追ったドキュメンタリDVD「トスカニーニ~ザ・マエストロ(完全版)」が追加されることで、トスカニーニが20世紀の演奏史に残した巨大な足跡をより充実した形で辿ることが可能になりました。その30有余年にわたる演奏の変遷は、一人の偉大な芸術家の成長の過程を記録するとともに、音楽受容を根本的に変えることになった録音というメディアの進化の歴史をも映し出していると言えるでしょう。
・トスカニーニが1920年から1954年にかけて録音し、RCAから正規に発売された全録音を収録。
・基本的に1992年に発売された82枚組のボックスセット「アルトゥーロ・トスカニーニ・コレクション」のカップリングを踏襲。
・1992年発売のデジタル・リマスターを基本に、2for1シリーズ、JVC XRCDシリーズなど、可能な限り最新のリマスター音源を採用。
・CD2枚分となるEMIへの正規セッション録音を合わせて収録。
・CDサイズのハードカヴァー別冊解説書付き(トスカニーニのエキスパートであるモーティマー・H・フランク、ミヒャエル・ステーグマンによる
新たなライナーノーツ、RCA録音のディスコグラフィを所収)
・DVD「トスカニーニ~ザ・マエストロ」(完全版、1988年制作のTV用ドキュメンタリー)を収録。
この宣伝の中にさりげなく次の記述があります。
・1992年発売のデジタル・リマスターを基本に、2for1シリーズ、JVC XRCDシリーズなど、可能な限り最新のリマスター音源を採用。
そこで、この大全集のCDのレコーディングデータを一枚一枚調べてみたらトスカニーニの名盤と言われる演奏のいくつかが最新のリマスター音源を採用しています。
最新のリマスタリングのCDは、数は少ないですがこの全集に収録されています。
でもこれだけあれば、トスカニーニの演奏の凄さは十分伝わるのではないでしょうか?
上記のことから、このCDの音の良さの秘密がよく分かりました。
この素晴らしい音によみがえったトスカニーニの演奏は、古い時代の演奏なのにアーノンクールやヴァントなどの演奏と比較すると「格の違い」を感じさせました。
さすがに、20世紀を代表する巨匠の演奏は、凄い演奏ですね。
トスカニーニの独特の不純な感情の動きの加わらない速度、明晰でよく歌う旋律、あくまで健康的な輝きをもっている演奏は他の追随を許しません。
このCDを聴くまでは、トスカニーニの古い録音の演奏は新しい録音の演奏にとって代わるかもしれないなどと思っていましたが、とんでもない誤解だったと痛感しています。
実は、トスカニーニのベートーヴェンの交響曲全集のCDは、我が家には6種類も持っているのですが、こんなにいい音ではありませんでした。
長生きすると(まだそれほどの年齢ではないのですが)技術の進歩の恩恵にあずかれるものですねぇ〜。