太平洋のうねってやってくる大波が九十九里海岸の岩礁にあたって波しぶきを上げています。
すざまじい厳しい外房の冬の風景です。
海上を叩きつける北風もするどく「びゅーびゅー」と音を立て肌をさす寒さです。
この激しい風は、目深(まぶか)にかぶっていた私の帽子を吹き飛ばしてしまいました。
寄せては返す波又波、この荒れた荒海の中、シノリガモの群れが、岩礁近くでサーフィンを楽しむように、まるで遊んでいるように、波の間に間に浮かんでいます。
シノリガモたちはこの荒波に潜り、主に貝類、魚類、甲殻類を食べているようです。
また、寄せ波、引き波にうまく乗って岩に付着している海苔(のり)をクチバシの先を前方に押し出すようにして取って食べているのでしょうか?
いずれにしてもシノリガモは、この荒磯(ありそ)を物ともしないタフな鴨です。
シノリガモは、九十九里海岸のような、越冬地ではこの写真のように、岩礁で越冬し、繁殖期の5月から7月は山間部の渓流で子育てするそうです。
「東北地方以北のシノリガモ繁殖個体群」は「環境省レッドリスト2014」で「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」に指定されています。
シノリガモの♂はとても綺麗で、類似する鴨はいませんが、♀はビロードキンクロの♀に似ていて、かなり地味な鴨です。
「雪空ゆるがして 鴨らが白みゆく海へ」 (種田山頭火)
参考ー以下は以前に撮影したシノリガモの写真です。
シノリガモ♂
地味な鴨がシノリガモの♀です。
以下はすべてシノリガモ♂