なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

蜜を集めるクマバチ

ブンブンブンと羽音をたてながら蜂が近くにとんできました。

スズメバチかと恐々(こわごわ)あたりを見回すと、クマバチ(熊蜂)のオスです。

ホット一息!

クマバチは、ミツバチの仲間で、攻撃的ではありません。

特にオスは刺す針を持っていないそうです。

クマバチは日本固有種のミツバチ科のハチで、体長約2cmほどでコロコロしていて、全体に黒色で、頭部に黄色いアクセントがあり、かわいらしい蜂です。

体長が大きく、飛ぶ音も大きいので怖(こわ)そうですが、性格はいたって温厚で、攻撃性はなありません。

ちょっと蛇足ですが、クラシック音楽に「熊蜂の飛行(Flight of the Bumblebee)」というロシア五人組の一人であるリムスキー=コルサコフ作曲による作品があります。

熊蜂の羽音を模したユニークな曲調で親しまれていて「くまんばちの飛行」、「熊蜂は飛ぶ」、「くまんばちは飛ぶ」などのタイトルで知られています。

この曲は、元々はプーシキン原作の歌劇「サルタン王の物語(The Tale of Tsar Saltan)」の間奏曲で、魔の島に海を越えて飛んできた熊蜂の群れが白鳥を襲(おそ)おうと周りを飛び回る場面で流れるようです。

この蜂は白鳥を襲うほど攻撃的な蜂なので、日本固有種のクマバチではありません。

実は、「熊蜂の飛行」の曲名は英語では「Flight of the Bumblebee」で、Bumblebeeはマルハナバチで、原曲のロシア語「шмеля」もマルハナバチのことだそうです。

一方クマバチは英語でlarge carpenter beeといい、クマバチの巣は木造なので木で家を作る「大きな大工さんバチ」と命名されていて、攻撃する蜂ではありません。

マルハナバチもクマバチもよく似た大型のハチだそうですが両種とも習性がおとなしく「サルタン王の物語」の劇中でハチの群れが白鳥を襲うシーンの音楽にはふさわしくないようです。

この題名の熊蜂の翻訳は誤訳のようですし、マルハナバチと和訳しても、曲想には合わないようです。



さて、ここに飛んできたクマバチは白い花をつぎつぎに周り蜜を集めています。

とても忙しそうです。

真夏の暑いところで頑張って働くクマバチを見ていると頭が下がります。

暑いとすぐに怠(なま)けそうになるわが身を反省すること頻(しき)りです。



「熊蜂の うなり飛び去る 棒のごと」   (高浜虚子)