畑の片隅(かたすみ)に小さな木が立っています。
この畑の横の道をよく通るのですが、普段、この木を気にしたことはありません。
でも、今回、青い毬栗(いがぐり)がたわわに実のっているのを見て、栗の木だったと気付きました。
小さな木にもかかわらず、枝枝に毬栗をいっぱいつけています。
秋が訪れた時、この木は、にわかに注目されるのです。
あまりにたくさん実をつけたためか、青いまま地面に落ちている毬栗もあります。
青い毬栗を見ると、もう秋なんだなぁ〜としみじみ感じてしまいます。
「行(ゆく)あきや 手をひろげたる 栗のいが」 (松尾芭蕉)
碧梧桐深大寺の栗を携へ来る
「いがながら 栗くれる人の 誠哉(まことかな)」 (正岡子規)
枯野の旅 (若山牧水)
乾きたる
落葉のなかに栗の実の
混じりたる
朽葉がしたに橡の実を
とりどりに
拾ふともなく拾ひもちて
今日の山路を越えて来ぬ
長かりしけふの山路
楽しかりしけふの山路
残りたる紅葉は照りて
餌に餓うる鷹もぞ啼きし
上野の草津の湯より
澤渡の湯に越ゆる路
名も寂し暮坂峠