ツユクサは、梅雨のころから9月ころまで咲いていますが、青色が深く美しくなるのは秋のようで、俳句の季語では、秋の花だそうです。
ツユクサの茎は地上をはっていて、地上に近い場所でいっぱい咲いているのをよく見かけますが、遊歩道で咲いているツユクサの中には、50センチくらいの高さで咲いている花もあります。
立ち上がって咲いているツユクサは、青色の花がよく目立って、雑草とは思えないほど「きれいな花である」ことを主張しています。
この花は、万葉人の心をつかみ、「つきくさ」として歌に詠われ、青い色に染めた衣がすぐに色あせるため、うつろいやすい、はかないものを連想させているようです。
万葉集には9首も詠まれているそうです。
「月草に 衣そ染むる君がため 綵(まだら)の衣を摺らむと思ひて」 (万葉集 作者不詳)
(意訳)
あなたに見てもらいたくて、斑(まだら)の衣にしようと思って、私の衣を月草(つきくさ)で染めてみたのです。
現代の私でも、手賀沼遊歩道を歩いていると、立ち上がったツユクサの青さに心をとられてしまいます。
「露草の かそけき花に寄りてゆく 心の行方(ゆくえ)ひとり喜ぶ 」 (窪田空穂)