なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

蕪栗沼の落雁

宮城県北部には、3つのラムサール条約湿地があるようです。ラムサール条約というのは湿地を国際的に保全し次世代につなげていくための条約です。

この蕪栗沼(かぶくりぬま)・周辺水田423haは、2005年にラムサール条約湿地に登録されていてマガン・オオヒシクイの越冬地として全国最大級の飛来数を誇り、遊水地として自然環境が残されているそうです。


11月21日の蕪栗沼上空は晴れで蕪栗沼周辺のたんぼでは、マガンの群れがあちこちで食餌していました。

明るい間は、マガンは1羽でも行動しますが、暗くなるに従い家族単位で動き出しそれらが次第に大群を形成していくようです。

大群を形成したマガンたちは、まるで雲霞(うんか)のように湧き上がって秋の夕暮れを見事な演出で展開してくれます。


そんな時、清少納言の「枕草子」の一部が頭をよぎりました。


(原文)
秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。

(意訳)
秋は夕暮れが趣があります。夕日が落ちてきて山の端が近く感じるようになってきたころに、烏が巣に帰ろうと、三羽四羽、二羽三羽と飛び急いでいる様子にさえ心がひかれます。ましてや雁などが列をつくって飛んでいる様子が小さく見えるのはとても趣があっていいものです。



雁たちが池に戻ってくると突然落ち葉が散るような飛行をします これを落雁と呼んでいるようです。

その羽ばたきと鳴き声はものすごいもので自然の威力を体感させてくれます。