秋に黄色の花を咲かせるセイタカアワダチソウも今は枯れてその長い茎はアーチ状に、たわみ、その上にたくさんの白い胞子(実)をつけています。
餌の少なくなっているこの時期、その実は、小鳥たちにとっては貴重な食べ物となっているようです。
渡良瀬遊水地の路傍には、この実をつけたセイタカアワダチソウがたくさん生えています。
この枯れ草の間に見え隠れしているのは、ベニマシコたちのようです。
ベニマシコの和名は、漢字で「紅猿子」と書き、赤い猿の子となっています。茶色の頭に顔の赤い顔は、猿を印象させますね。
英名は「Long-tailed Rose Finch 長い尾をしたバラ色のアトリ」です。
体長は、15cmでスズメくらいの大きさで、後ろ姿は、スズメと同じく地味な色なのですが、オスのベニマシコは。前から見るとローズピンクの綺麗な小鳥です。
クチバシは、アトリによく似ていますが、だいぶ短く見えます。
オスには、ローズピンクが混じるのですが、メスは地味でピンク色ではありません。
成鳥のオスはかなり赤く見えますが、若いオスは、それほどでもありません。
時としてベニマシコは人を恐れず、すぐ目の前で草や木の実をひたすら食べることがあります。
今、路傍のセイタカアワダチソウの実を食べにオスの若鳥が現れました。
オスのベニマシコですが、若鳥なので後ろだけピンク色になっていますが、前のほうは極く薄いピンク色でまだ地味な色です。
私が道の反対側にいるのに、太い茎につかまり夢中になって実をほおばります。
クチバシにいっぱい実の綿をつけてしまっても気にしません。
食べ終わったこの若鳥は、また草むらに潜って隠れてしまいました。
「時雨(しぐれ)こし
梢(こずえ)の色を思へとや
枝にもきゐる てりましこかな」 (「寂蓮」 夫木和歌抄 )
注:アトリ科の赤い鳥、ベニマシコ、オオマシコは、鎌倉時代では区別されずに一様に「ましこどり」もしくは「ましこ」と呼ばれ、オスは特に「てり(照)ましこ」とよばれたようです
参考のために、以前、渡良瀬遊水地で撮影した赤い色の「成鳥のオス」のベニマシコの写真を1枚、メスのベニマシコの写真を1枚添付します。