6月1日、手賀沼周辺の茂みからヒクイナの戸をたたくような「キョッキョッキョッ」という鳴き声が近くから聞こえてきました。
その時、茂みから道を横切って黒っぽい影がふんわりと飛びました。
しばらくして茂みからヒクイナが姿を現しました。
すばやく畦道に駆け上がりました。
用心深いヒクイナは、辺りの気配を窺いながら畦道の上を警戒します。
畦道から茂みに戻りかけましたが、思い直して再度、畦道に戻り反対の方角に姿を消しました。
辺りはだんだん暗くなってきましたので、この辺で撤収しました。
以前のブログでも書きましたが、歌に詠まれるクイナは、ヒクイナだそうで、その鳴き声が、戸を叩く音に聞こえることでよく詠まれたようです。
昔は、クイナとヒクイナとを区別していなかったようです。
枕草子や、源氏物語に出てくるクイナも小学唱歌「夏は来ぬ」のクイナもヒクイナとのことです。
ちょっと事例を示します。
花散里(はなちるさと)の詠んだ歌
「おしなべて叩く水鶏(くいな=ひくいな)におどろかば うはの空なる月もこそ入れ」
源氏物語・澪標
意訳:水鶏が戸をたたくような「キョッキョッキョッ」という鳴き声で驚かさなければ、どうして私のところのような荒れた家に、月のような光源氏を迎え入れることができたでしょうか。
また、松尾芭蕉は水鶏(クイナ=ヒクイナ)が大好きで常日頃からクイナの笛を吹いていたそうです。
詠んだ水鶏の句は20もあるそうです。
「水鶏(くいな)啼(な)くと 人のいへばや 佐屋(さや)泊り」(松嗚芭蕉)
意訳:「クイナが鳴くのでその声を聴いていったらどうですか?」と人がすすめるので、佐屋で一泊することになりました。