「あじさい」 金井直
また季節はめぐりきて うすむらさきのほほえみはよみがえる
あなたは思い出 いつみても美しい いつまでもあなたのそばにいると あなたの色が沁みこんでくるようだ
かけがえのない愛の色よ あなたの繁みの奥に こころのゆりかごを静かにゆり動かす手がある
あなたの陰に「時」のない影がある だがもう あなたの芯から名前は生れではしても むかしのあなたではない
あの日のいのちとともにうすれて いつしか消えてしまった ただひとたびの美しさよ
いまあなたにくまどられながら じっとあなたをみつめていると 眼が痛くなり 眼を閉じると急にまわりが広くなる
遠いものは近くなり 近いものは遠くなる あなたの中に私が在るのか 私の中にあなたが在るのか わからなくなる そして 人と云うものが哀しくなってくる
上記の詩は、昭和の詩人 金井直(かないちょく)の「あじさい」です。
「また季節はめぐりきて」わが家の庭でも、青紫やピンクのあじさいが咲いています。
手賀沼遊歩道のガクアジサイがとても綺麗だったので撮影しました。
アジサイのふさわしい季節となりました。