なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

川面を飛んで中州に戻るヨシゴイ

今年もいつもの中州にヨシゴイがやってきました。気持ちよさそうに直線的に川面を飛んで、中州に飛び込んでいきます。ここに営巣しているのでしょう。そのうち、ヒナたちもボサボサ頭の可愛い顔を出すことでしょう。今年も無事に子育てができますように!




閑話休題トスカニーニベートーヴェン交響曲全集(1939年)の「英雄」


今日の話題は、創立3シーズン目のNBC交響楽団による1939年、ニューヨーク、ラジオ・シティのスタジオ8Hで開催された、今や伝説となっている、このチクルスの録音のベートーヴェン交響曲全集です。

私は、RCAの正規盤の全集は、高校時代には、聴いていましたが、このSP時代の演奏を聴いたのは、20代後半になってからでした。この頃は、すでに、この演奏は、LPの復刻盤となっていて、新宿の輸入レコード店でみつけました。今は、どこのレーベルだったか忘れてしまいましたが、安っぽい黄色の箱に入ったアメリカ製の廉価盤でした。

あまり期待しないで聴いたのですが、録音は、貧弱でしたが、正規盤にはない凄さを感じました。しかも、ライブ録音でアナウンサーの声や聴衆の拍手も録音されていました。このLPは、当時の私の愛聴盤になりました。なかでも、よく聴いたのは、第3番の「英雄」でした。この演奏は、とても気に入って、正規盤のLPの「英雄」の何倍も聴いたものでした。

後にLPレコードを全部処分した時に、このレコードも手放したのですが、正規盤のCDを聴くたびに、このレコードを思い出して、聴きたくてたまりませんでした。

最近、この1939年の「ベートーヴェン交響曲全集」の復刻CDを入手して、久しぶりに聴いてみました。このCDの宣伝文句には、「ドイツGEBHARDTグループのANDROMEDAレーベルによる、丁寧なリマスタリングによる決定盤」と書かれてます。

このセットの1枚目のCDは「英雄」だったので、このCDから聴いてみました。

交響曲第3番 変ホ長調 作品55『英雄』

 1939年10月28日 アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮) NBC交響楽団

いいですねぇ〜。颯爽とした名演です。聴いていたころの高揚感が蘇ります。

ただ、今、聴いてみると正規盤の演奏のほうが、完成度が優っているように思えました。手放したLPの全集の印象が残像として、あまりに強烈に残ってしまっていたから、旧盤のほうを聴きたくてしかたがなかったのかもしれません。

現在、正規盤の演奏もモノラルですが、とても素晴らしいので、私のスマホには、正規盤の全集を、コピーして、持ち歩いて聴いています。

最近は、この正規盤の全集の輸入盤がとても廉価なので、お薦めですよ!

トスカニーニベートーヴェンの演奏を、2人の音楽評論家が上手く説明していますので、引用してみます。

その一つは、古い絶版の本ですが昭和37年発行の「指揮者」(音楽之友社)140頁
村田武雄氏の評です。

トスカニーニベートーヴェンは、多くのドイツ・オーストリアの指揮者と違って、同じ歌う場合でも感情的にならずにあたかも彫刻のように線の明快で彫りの深さが認められる。きわめて強弱の対比が強く、雰囲気的な要素よりは音楽的要素が重んじられている。それは、かれの「第三交響曲」が最もよく示している。その第一楽章は、英雄もナポレオンもなくてまさしくアレグロ・コン・ブリオそのものの演奏なのである。「第五交響曲」と「第七交響曲」は、トスカニーニがいかに素晴らしいリズムの感覚をもっていたかを感じさせる、やはりかれの残した傑作であり、「第九交響曲」とともにベートーヴェンの演奏の模範といえよう。とくに「第九番」はトスカニーニがこれをひとつの劇的な考えでまとめた非常に緊張した名演である。」

もうひとつ、は現行の本「クラシックCDの名盤 演奏家篇」(文春新書) 19頁 福島彰恭氏の新旧2つの全集への評です。

トスカニーニの歌(カンタ)は、造形や構造を重んずるドイツ音楽にイタリアの陽光を投げかけて素敵である。ベートーヴェンは、柔軟でいきいきとした演奏なら39年のチクルス、鍛え上げられた造形と録音の良さなら50年代のスタジオ盤がよいがどちらも聴くべきだ。」

と言われています。どちらを聴いても素晴らしい演奏で感動します。