なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

久しぶりのトラツグミ

近くの公園の薄暗い雑木林の林床に、トラツグミが動めいていました。落ち葉の上を歩いたり、倒木の上に乗ったりして採食しています。

トラツグミは体長29.5cmほどの大型のツグミで、ハトより少し小さいくらいの鳥です。

毎年、トラツグミは、越冬するために山地から降りてきているようですが、姿を見ることはなかなか難しく、このブログ掲載も2011年1月31日以来です。

つまり、トラツグミは、林や藪の中で、落ち葉をひっくり返しながらミミズなどの小動物を見つけて食べていますが、多くは暗い場所に出没して、虎の模様のような姿が、あたりの落ち葉の色や土の色に溶け込んで、とても見分けずらいので、簡単には見つけられないのです。

トラツグミの姿は、印象的で存在感はあるのですが、私は鳴き声を聞いたことはないのですが、不気味な感じで、曇りの薄暗い日や夜に「ツィー、ヒョー」と鳴くのだそうです。

昔は伝説上の怪物である鵺(ぬえ)が鳴いている、と考えられていたそうです。

鵺退治(ぬえたいじ)は、「平家物語」(巻4)に2度登場しています。

一つ目は、仁平年間(1151〜1154)に、近衛天皇を夜な夜な悩ませた、「頭は猿、胴体は狸、尾は蛇、足手は虎という妖怪」を退治した物語で、二つ目は、応保年間(1161〜62)に、二条天皇をおびえさせた怪鳥を退治した物語です。

いずれの妖怪・怪鳥とも「東三条の森」から暗雲とともに御所へとやってきて、源三位頼政(げんさんみよりまさ)によって射殺されています。この時使われた弓は恨弓(こんきゅう){鵺を退治した恨むべき弓}と言われています。

 
私はこのトラツグミを不気味には思わないのですが、昔の人は、「姿を見ないで」不気味な声だけ聞いたので、怪物「ヌエ」が鳴いていると思ったのかもしれません。

クリクリした目の愛嬌のあるトラツグミに会えて、幸せな気分になりました。



尚、近衛天皇の代に、都を騒がせた鵺を仕留めた恩賞として源頼政に下賜されたと伝えられる宝剣「獅子王丸」は、現存していて、重要文化財に指定され、現在は外装共に東京国立博物館に収蔵されているそうです。


「獅子王」の拵 柄は、刃長二尺五寸五分(約77.3cm)反り9分(約2.7cm)、鎬造の庵棟、鎬高く幅広く腰反り高い、カマス切先で地刃に平安期大和物の特色の強い、典型的太刀体配の太刀とのことです。


また、 謡曲「鵺」は、打ち取られた鵺の立場を謡曲にしたもので、成仏できない鵺を旅の僧が回向する名曲とのことです。