坂東太郎(利根川)の広大なヨシ原の上空をオオセッカが囀(さえず)りながら飛び跳(は)ねています。
5月10日は、五月晴れの上天気でしたが、吹く風は強く、枯れたヨシたちを、なぎ倒すような勢いです。
それでも、オオセッカは、風に負けないで、彼らの「縄張り」を巡回しながら、それぞれのソングポストで囀っています。
オオセッカは、独特の「囀り飛翔(さえずりひしょう)」をする、とても愛嬌(あいきょう)のある小鳥です。
世界的にも希少種であるオオセッカですが、毎年この利根川下流のヨシ原で囀っています。
オオセッカは 、スズメ目センニュウ科センニュウ属の日本固有亜種の鳥で、全長13cmで、スズメより少し小さく、セッカと同じくらいの大きさです。
名前から見るとセッカの仲間のようですが、セッカは、スズメ目セッカ科なので、○○センニュウと名づけられた鳥たちセンニュウの仲間のようです。
希少種オオセッカは、種の保存法「国内希少野生生物種」、環境省レッドリスト絶滅危惧IB類(EN)に指定されている絶滅の恐れのある鳥です。
2001年に行われたセンサスでは、主要な繁殖地の岩木川流域に300羽、仏沼湿原に900羽、利根川下流域で1200羽、その他の地域に100羽が生息すると推定された。
とのことです。
利根川下流の堤防越しに、ジュク・ジュク・ジュクという特徴のあるオオセッカの囀りを聞いた時、1年ぶりの再会に「胸のときめき」を感じざるをえませんでした。
セッカの声、オオヨシキリの声も聞こえましたが、やはりこのジュクジュクという囀りが耳に浸(し)みます。
今年も「私の夏」が、到来しました。
「たまさかに くるとはすれど めを渡る
鳥のはやくも 帰りぬるかな」
(源 俊頼 「散木奇歌集」)
注)めを渡る:「目を渡る鳥」というのは、「視界をさっと横切る鳥」のことです。