なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

郷愁のシオカラトンボ

シオカラトンボは、日本中のどこでも見られた代表的なトンボです。家の近くでもよく見かけました。子供たちは、トンボを捕るために、笹竹に「おとり」の雄のトンボを、糸でくくりつけていました。雌のトンボが近寄ってくるのを捕えるのです。小さな子も大きな子も一緒になって、その竹竿をもって走り回ったものでした。遠い日の懐かしい思い出です。


「とんぼ釣り今日はどこまで行ったやら」          加賀千代女(かがのちよじょ)
 
微笑(ほほえ)ましい俳句のように思えますが、実は、加賀千代女が亡き子を思って詠んだ句です。彼女は、時を経ても死んだ我が子のことを忘れることができません。帰ってくるはずのない我が子の姿を追い続けています。笹竹を振りながら夕焼けの中を駈けていたあの子は、今どこにいるのだろうか。亡き子を思う親の気持ちが切ないですね。新渡戸稲造(にとべいなぞう)は、「武士道」の中で、この句を

     How far to-day in chase, I wonder,
            Has gone my hunter of the dragon-fly!! 

と訳しています。名訳ですね。お盆休みのこの時期に思い出す切ないお話です。