なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

夜明けの白鳥

冬至も過ぎ、マヤ歴の「地球最後の日」も無事にすぎてゆきました。白鳥たちも穏やかな夜明けをむかえていることでしょう。漆黒の闇に太陽が顔を現していく時、オレンジ色の光がまわりの景色を染めていきます。暗いうちから白鳥の鳴き交わす声がひびいています。空がだんだん明るくなって、すっかり、あたりを見渡せるようになると、白鳥たちも動き出します。さらに、仲間と呼び合ったり、遊んだりするようになっていきます。餌がまかれると、騒がしく奪い合います。お腹がいっぱいになると、ねぐらからとびたち始めます。今日は、どこに行くのやら・・・




閑話休題  ベートーヴェン「第九」雑感

連休初日の12月22日土曜日に在京オーケストラ9団体のうち7団体がベートーヴェンのの交響曲第九番を演奏するそうです。日本では、師走に第九を演奏するのが、年中行事となっているので、当然のことかもしれません。

私も師走に、フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団1951年ライブ、ドイツ・エレクトローラ社による擬似ステレオ)のCDをよく聴きます。私は、トスカニーニのファンなので、フルトヴェングラーの指揮のCDは、それほど聴かないのですが、ベートーヴェン交響曲第3番(1944年ウラニア盤Delta社製CD)と、この「第九」のCDだけは、感動する演奏なので、よく聴きます。
トスカニーニの演奏も素晴らしい演奏ですが、フルトヴェングラーのCDは、「別格の感動」があります。もっとも、このフルトヴェングラー「第九」の演奏をトスカニーニは、「あまりに崇高な演奏すぎる」と批判した演奏なのですが・・・

演奏内容と無関係ですが、この演奏のLP盤のジャケットは、大好きでした。このLPは、箱に入っていました。そのデザインがとても魅力的だったので、同じLPを3セットも所有していました。その中のレコードに、赤いレコードもあったように記憶しています。以前、LPは、すべて処分したので、このLPも今は、手元にないのですが、思い出のあるLPでした。

「第九」のCDで印象的な演奏のCDは、1989年、ベルリンの壁崩壊から約一ヵ月後のクリスマスに、レナード・バーンスタインがベルリンでベートーベンの「第九交響曲」演奏したものです。ベルリンの壁の崩壊を祝って、世界五カ国(アメリカ、ソ連、フランス、イギリス、西ドイツ、東ドイツ)の6オーケストラ・3合唱団から編成された大オーケストラが「自由と歓喜」を演奏しました。

(この演奏の宣伝用の記述を、少し修正して、以下に引用します。)

1989年12月25日、ドイツの東西分離の象徴でもあったベルリンの壁が崩壊したことを記念した一大イヴェントが、レナード・バーンスタイン[1918-1990]が指揮したこの第九演奏会でした。
 バーンスタインはここで、バイエルン放送交響楽団をメインに、計6つの楽団のメンバーによって特別に編成されたオーケストラを指揮し、これに東西ドイツの合唱団と東西ドイツ英米ソリストが加わった豪華な布陣によるアンサンブルを指揮しています。
 ちなみに6つのオーケストラの内訳は、西ドイツ・東ドイツに、ドイツの東西分離のきっかけとなったアメリカとソ連、それに第二次大戦時のドイツの敵国イギリスとフランスのオーケストラというもので、記念碑的な演奏会をさらに特別な物にしようという関係者の尽力が偲ばれます。
 なお、バーンスタインはここで、ベルリンの壁が崩壊したという歴史的事実を祝うために第4楽章の歌詞の“Freude(歓喜)”を“Freiheit(自由)”に変更して歌わせています。当時のバーンスタインはすでに肺ガンに冒されており、しかも自身そのことを知っていたといいますから、ここでの渾身の指揮ぶりはまさに命がけのものだったのでしょう。
 しかしバーンスタインは最後までエネルギッシュでした。この公演の直前には念願の改訂を終えたキャンディードをロンドンで収録、翌年にはウィーンでブルックナーの9番や、シベリウスの1番、マーラーの歌曲を指揮し、その後、バイエルンモーツァルトの大ミサを指揮、2ヵ月後には札幌で大奮闘してPMFを成功に導き、そしてそれから3ヵ月の後に亡くなってしまいます。最後の演奏会はボストンでのものでした。

ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱付』
 ソプラノ:ジューン・アンダーソン(アメリカ)
 メゾ・ソプラノ:サラ・ウォーカー(イギリス)
 テノール:クラウス・ケーニヒ(東ドイツ
 バス:ヤン=ヘンドリンク・ローテリング(西ドイツ)
 バイエルン放送合唱団
 ベルリン放送合唱団メンバー
 ドレスデンフィルハーモニー児童合唱団
 バイエルン放送交響楽団
 シュターツカペレ・ドレスデン・メンバー
 ニューヨーク・フィルハーモニック・メンバー
 ロンドン交響楽団メンバー
 レーニングラード・キーロフ劇場管弦楽団メンバー
 パリ管弦楽団メンバー
 指揮:レナード・バーンスタイン

 収録時期:1989年12月25日
 収録場所:東ベルリン、シャウシュピールハウス
 
 
この演奏では、有名な最後の合唱部分のシラー原作の歌詞が変更されています。(ベートーヴェンもシラーの原詩の抜粋と修正をしていますが・・・)

「Freude, Shoner Gotterfunken, Tochter aus Elysium」と歌われる「Freude(喜び)」が「Freiheit(自由)」に変更されたのです。(訳詩は、内藤克彦著「シラー」より引用しました)

 自由(「喜び」を変更)よ、美しい神々の火花
 至福の園の娘よ
 われらは炎に酔いしれて
 天上のものよ、きみの聖所に歩み入る。
 きみの魔力は、
 流俗の厳しく分離したものを、再び結び合わせ
 きみのやさしい翼の休むところ
 すべての人が兄弟となる
  ・・・
 


この時節、他国の人々を兄弟と思って、各国の人々が、行動できることの大切さを、痛切に感じます。