秋の黄昏(たそがれ)が手賀沼にせまる頃、カンムリカイツブリが湖面を進んでいきます。
夕陽の赤い光線が、葦原(あしはら)を赤く染め、その反射光が湖面の波に映って、夕紅葉(ゆうもみじ)をあざむく緋色(ひろ)の模様(もよう)を作り出しています。
カンムリカイツブリは、その日の最後の漁(りょう)をしようと、手賀沼の魚を求めて緋色の模様の波をかき分けて、進んでいきます。
秋の夕暮の手賀沼の風景です。
「あかあかと 日は難面(つれなく)も 秋の風」 (松尾 芭蕉)
カンムリカイツブリは、全長56cm。カイツブリ科最大種。首が長く,夏羽では黒い冠羽と赤いほおの飾り羽が特徴で、冬羽の冠羽は、小さくなって、ほおの飾り羽はなくなります。
おもに魚類を食べますが、両生類や昆虫類、水草なども食べるそうです。
ユーラシア,アフリカ北部,オーストラリアに分布。日本へは冬鳥として渡来しますが,近年,青森県や琵琶湖などでの繁殖が確認されているそうです。
閑話休題ー「みじかきも美しく燃え」
手賀沼の夕紅葉をあざむく緋色のさざなみを見ていたら、1967年のスウェーデン映画「みじかきも美しく燃え(Elvira Madigan)」で使われたゲザ・アンダの「モーツァルトのピアノ協奏曲21番」の第2楽章 アンダンテを聴きたくなり
ゲザ・アンダ(指揮・P)ウィーン交響楽団
「モーツァルトのピアノ協奏曲21番」
を聴いてみました。
ゲザ・アンダは、ハンガリー出身、スイスの名ピアニストで、この第21番の演奏は、ゲザ・アンダが自ら指揮者を兼ねた「モーツァルトのピアノ協奏曲第20番、第21番」を収録したCDの中からのものです。このCDは、同曲2度目の録音で、彼の晩年の会心の演奏で聴くことができます。
ピアノ協奏曲21番は、明るい曲想で、なじみ深い第2楽章アンダンテは、彼の演奏で聴いてみると、この時期、特に、心にしみる感動をおぼえます。
ゲザ・アンダは、演奏家としてこれから円熟しようとした矢先に亡くなったので、日本では、あまり知られていないのですが、西洋では、高い評価をされているピアニストです。
私もあまりよくは、聴いてはいないので、これからもう少し聴いてみようと思っています。