なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

雪空の下のカヤクグリ

3月11日は、寒の戻りなのか?とても寒い1日となりました。

奥多摩の山々は、朝靄(あさもや)に覆(おお)われ雪も舞っていました。まるで水墨画の世界です。

頬をかすめる風雪は冷たく手も足もかじかんで、最近の春の暖かさは、遠い過去のように感じてしまいます。

そんな悪天候の日でも鳥たちは、餌を求めて動き回っています。

雪の降りしきる中でもトビが旋回していますし、まだ、雪が積もっていない地上では、落ち葉をほじくりながら、カヤクグリが懸命に餌を探しています。

カヤクグリは、スズメくらいの大きさで、全身褐色味がつよく、地味な色彩をした鳥で、北海道、本州、四国の高山帯に棲(す)んでいるようです。

カヤクグリは、日本の準固有種で日本と南部千島列島のみに分布するそうです。

カヤクグリは、夏場は、標高の高いハイマツの生える林やその周辺の岩場たとえば乗鞍岳・畳平や富士山奥庭などで、よく見かけます(参考写真1・2)が、冬場には、越冬のため標高の低い、積雪のない低地にまで下りてきます。

お正月ころには標高の低い筑波山山頂付近でもよく見かけます。

この奥多摩のカヤクグリも、あまり積雪の無い、この地に越冬しに来たのかもしれませんが、こんな3月になっても期待はずれの雪が舞うような天気になっています。(参考写真3)思わぬ雪にとまどいながらカヤクグリは、身体を丸めて寒そうに佇(たたず)んでいます。

奥多摩のカヤクグリは、温かい春を待ちながら、落ち葉の下の草の実などを食べて、しのいでいるようです。

寒い過酷な条件の中でも鳥たちは懸命に頑張って生きています。


東日本大震災」記念の日の3月11日、私は「か細い身体でありながら風説に耐え懸命に生きる命」を撮影しているように感じてしまいました。



奥多摩の山々の雪景色

雪の中を舞うトビ

餌を探しているカヤクグリ







参考1:昨年9月に撮影した乗鞍岳・畳平のハイマツの上のカヤクグリ



参考2:以前7月に撮影した富士山奥庭の岩場のカヤクグリ

参考3:(例外)以前1月に撮影した突然の積雪にとまどう嵯峨塩深沢林道の雪の上のカヤクグリ