3月28日日曜日の朝、手賀沼遊歩道を歩いていたら、手賀沼上空に白っぽい鷹が飛んできました。
「空飛ぶ漁師(りょうし)」ミサゴです。手賀沼のミサゴに会うのも久しぶりです。いつもは上沼で見かけるのですが、今日は下沼にご出張のようです。
最初、見た時は上沼方面から下沼の下流に飛んできましたが、途中でターンして戻ってきました。私の見ている場所を通り過ぎたと思っていたら更にターンしています。
写真はこの時のターンをするミサゴです。目が鋭く輝いています。
手賀沼の水面を見つめながら飛んでいましたが、獲物の魚がみつからないのか?
そのまま手賀川方面の下流に飛んでいってしまいました。
ミサゴは、「営巣場所不足(えいそうばしょふそく)のため,種の存続の圧迫が強まっている」と考えられている、準絶滅危惧(じゅんぜつめつきぐしゅ)(NT)(環境省レッド・ブック2014)です。
手賀沼では、ミサゴをよく見ることができるので、普段はあまり気にしていませんが、これからもミサゴたちの生息環境を大事に守っていきたいものです。
蛇足(だそく)ですが、ミサゴの英語名はオスプレイ(0spray)で、米軍の新型輸送機は、ホバリングの得意なミサゴに由来して命名されたとのことです。
昔からミサゴは、雌雄仲睦(しゆうなかむつ)まじい「魚をとる鷹」としてよく知られていて、歌によく詠(よ)まれていますが、いずれの歌もミサゴそのものを詠んではいません。
「 みさご居る 沖つ荒磯(ありそ)に 寄する波
ゆくへも知らず 我(あ)が恋ふらくは 」
(万葉集 作者未詳)
(意訳)
みさごが棲(す)んでいる沖の荒磯に寄せる波は、どこに行ってしまうのかわかりません。
私の恋もこの波と同様どこにいってしまうのでしょうか?)
詩経(しきょう)国風「周南」窈窕(ようちょう)の章:淑女を歌う より
「関雎(かんしょ)=みさご」
關關雎鳩 關關(かんかん)たる雎鳩(しょきゅう)
在河之洲 河の州にあり
窈窕淑女 窈窕(ようきゅう)たる淑女
君子好逑 君子の好(よ)きつれあひなり
注1)關關(かんかん)は、鳥のつがいがのどかに鳴き交わす声のことです。
注2)雎鳩(しょきゅう)は、ミサゴのことです。
(意訳)
和やかに鳴きあうミサゴの夫婦が川の中州にいます。
美しくしとやかな淑女は、ミサゴの妻のように、君子の妻とするに相応(ふさわ)しい ものです。
井伏鱒二の詩「みさご」
「みさごは 関々(かんかん)と鳴きて 河の州(かわのす)にあり
みめよき女は 君子のよきつれあひ」
「雲に入る みさごの如き一筋の
恋とし知れば 心は足りぬ」
(有島武郎)
上の歌は軽井沢の別荘で情死(じょうし)した有島武郎(ありしまたけお)が「いちずに上空を目指していくミサゴの恋への憧(あこが)れ」を詠(よ)んだ辞世(じせい)の句です。
以下の写真は、キヤノン EOS 7D Mark IIにキヤノン EF70-200mm F4L IS USMに1.4倍のテレコンを装着して手持ち撮影しました。