スギナやつくしの生えている堤防に、アマナが少しばかり花を咲かせていました。
まだ、生まれたばかりのようであまり元気はなさそうです。
もっと陽(ひ)に当たると元気になって花弁をいっぱい開くのかもしれません。
アマナは、早春、3月の初めごろから4月ごろまで花を咲かせるそうです。
また、春を告げる花(スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)(春の妖精)を感じさせる花たちのひとつで、多年生植物とのことです。
よく観(み)ると、花や葉の感じがチューリップに似ていますね。
アマナという名前は球根が甘く食用にできるところからきているそうです。
ところで植物の名前には「ナズナ」「ヨメナ」「アマナ」「アブラナ」など、名前の最後に「〜ナ」の付くものがいくつかありますね。
この「〜ナ」は「〜菜」のことで、食べられる草、食用とする草を指す言葉のようです。
白い可憐なアマナの花を見ていたら「万葉集」冒頭の雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)の詠(よ)んだ歌を思いだしました。
籠(こ)もよ み籠持ち 堀串(ふくし)もよ
み堀串持ち この岡に
菜摘ます児(こ) 家聞かな 名告(の)らさね
そらみつ 大和の国は おしなべて吾こそ居れ
しきなべて吾こそ居べ 吾こそは告らめ 家も名をも
(意訳)
美しい籠(かご)とヘラを持って若菜を摘んでいるお嬢さん!
家もお名前もを教えてくださいな。
わたくしは、ヤマトの国を支配しているのですが、自分から打ち分けましょう。
私の家も名前も。
以下の歌は、アマナでなくて、ヨメナですが「古代の春」の雰囲気(ふんいき)を味わえる万葉歌(まんようか)です。
「春日野(かすがの)に 煙(けぶり)立つ見ゆ をとめらし
春野のうはぎ 採みて煮(に)らしも」
(萬葉集 作者不詳)
(意訳)
春日野の方に青い煙が立ちのぼっているのが見えるけれど、あれはきっと、乙女た
ちがヨメナを摘んで煮ている煙に違いない.
オリンパス ミラーレス一眼 OM−E E−M1(パワーバッテリー・ホルダー HLD−7付).ズーム・レンズ ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II で手持ち撮影しました。