なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

秋楡の実を頬張るベニマシコ

1月17日のお昼ころ、まだ淡いピンクのベニマシコ(紅猿子)が、秋楡(あきにれ)の木にやってきました。

秋楡の木は、9 月頃に淡黄色の両性花(一つの花に雄しべと雌しべをもつ花)を束生(見かけ上が束のようになっているつき方を)し,翼果(翼のある実)は11 月頃に淡褐色に熟します。

この実は、冬には乾燥して、白くなります。この冬の白い実がベニマシコの好物のようです。

このベニマシコは、軽業師(かるわざし)のような姿でこの白い実を食いちぎって頬張っています。


ベニマシコの「ましこ」は、漢字で「猿子」と書きます。

猿の古名を「まし」と言ったそうで、ニホンザルの顔のように赤い鳥なので、「ましこ」と呼ばれたそうです。

マシコとは猿の顔のように赤い鳥をさすのですが、アトリ科の赤い鳥、ベニマシコ、オオマシコは、鎌倉時代では区別されずに一様に「ましこどり」もしくは「ましこ」と呼ばれ、オスは特に「てり(照)ましこ」とよばれたようです。


「時雨(しぐれ)こし

  梢(こずえ)の色を思へとや

   枝にもきゐる  てりましこかな」 (「寂蓮」  夫木和歌抄 )


このベニマシコは一羽だけで秋楡の実を食べていたのですが、もう一羽のベニマシコがこの木にやってきた途端、一緒になって飛び去っていきました。

とても愛くるしいベニマシコでした。