今年もようやく市川市の「じゅん菜(さい)池」にミコアイサ(巫女秋沙)がやってきました。
とびっきり綺麗(きれい)なオス一羽!
「じゅん菜池」は、昔、市川市の国府台(こうのだい)と国分(こくぶん)の台地間に深く入り込んだ沼があり、これを国分沼といったそうですが、この沼には「じゅん菜」がたくさん生えていたことから、「じゅん菜池」と呼ばれるようになったそうです。
たった今、じゅん采池を照らしている朝の低い太陽の光線が島にぶつかり、その反対側の島影は漆黒の闇(しっこくのやみ)に包まれました。
明るい池の真ん中で朝寝をしていたミコアイサは、ようやく起きて、潜水しながら暗い島影に移動してきました。
島影にある石の上にひょいと上がって羽繕いをしていたミコアイサは、スィーと水に下りた途端、水面より起き上がり、羽を大きく広げ羽ばたきました。
ちょうどその時、春をはらんだ暖かい光線は、彼の身体に反射して輝き、あたかも、この「池の舞台の名優」にスポット・ライトをあてるかのように暖かい雰囲気(ふんいき)を醸(かも)し出しました。
ほんの一瞬の出来事でしたが、漆黒の闇の中に輝くミコアイサは、まるで「幽玄な世界」に浮かび上がる「春を告げる妖精」のようにも見えました。
2月11日は、「建国記念の日」の祭日です。
じゅん采池の名優であるミコアイサの「祭日公演」は、「近づく春」を感じさせる素敵な公演でした。
イギリスの詩人パーシー・シェリーが1819年に詠んだ詩集「西風の賦(にしかぜのふ Ode to the west wind)」の5節の最後にある言葉
「冬来たりなば、春遠からじ」
ふゆきたりなばはるとおからじ
If Winter comes can Spring be far behind?
のように
もうすぐそこに春が来ているのかもしれません!
山の際(ま)に
渡る秋沙(あきさ)の行きて居む
その川の瀬に波立つなゆめ
(山を越え渡ってきた秋沙のために、
川よ波立たないでおくれ)
万葉集 (詠み人知らず)