埼玉県蓮田市のサバンナシトドの撮影の最中、田んぼの上空を小型のハヤブサのチョウゲンボウが飛んでいきました。
ハヤブサの仲間は、以前は「鳥綱タカ目ハヤブサ科」だったのですが、日本鳥学会発行の日本鳥類目録改訂第7版(2012年)より「鳥綱ハヤブサ目ハヤブサ科」となり、一つの独立した「目」が与えられました。
そのためチョウゲンボウもタカ目ではなくハヤブサ目となっています。
チョウゲンボウという不思議な名前の由来はよくわかっていないそうです。
山と渓谷社刊「野鳥の名前」図鑑によれば、一説に、下からチョウゲンボウを見上げるとトンボ(ヤンマ)に見え、トンボの方言にゲンザンボーがあり、鳥のゲンザンボーという意味でチョウゲンザンボーとなりチョウゲンボウに変化したとの説もあるようですが、あまり納得できる説とも思えません。
このチョウゲンボウは、獲物を探しながら、下を見ながら飛んでいるためか、もともと遅いのか、ハヤブサの仲間にしてはあまり速くない速度で飛び去っていきました。
チョウゲンボウは、臨戦態勢なのか足を出したまま飛翔していました。と思ったら、足に鳥を捕まえて捕まえたまま運んでいます。
山階鳥類研究所の専門家によれば「このチョウゲンボウは尾の横斑が、先端に一本太いのがあるだけで、途中に細い線がないですし、頭も灰色ですから、オスでしょう。となると、今の時期だとまだ育雛には早いので、求愛のためにメスにプレゼントを運んでるのじゃないでしょうか?」とのことです。
江戸時代の鷹匠のチョウゲンボウの評価は中位で、スズメの巣立ちビナが出るころに、小鳥ねらいで時々「鷹狩り」でも使われていたようです。
チョウゲンボウの目は、紫外線も検知できるそうで、獲物が出す尿の痕跡からも探し出すことができ、ハヤブサのように早く飛べないけれど、空中に停止するホバリングの技術を持っているので、獲物を捕獲する技量は高いようです。
チョウゲンボウ(長元坊)という名前は江戸時代につけられたようで、蔑称で馬糞鷹や罵尿鷹などと呼ばれ小林一茶の俳句にも詠まれていますが、とてもキュートで愛らしい顔つきの鳥なのに綺麗な歌は見当たりませんでした。