なかなかなかね野鳥と自然の写真館

疾風怒涛の時代が過ぎ去っていきます。私たちがその中で、ふと佇む時、一時の静寂と映像が欲しくなります。微妙な四季の移ろいが、春や秋の渡りの鳥たちや、路傍の名もない草花にも感じられます。このブログは、野鳥や蝶、花や野草、四季の風景などの写真を掲載しています。

木陰(こかげ)のサルスベリ

サルスベリは、百日紅(ひゃくじつこう)ともいわれるように、咲いている時期がとても長いので、花の少ない今の時期に庭木として珍重されます。緑の中に咲くサルスベリは、鮮やかな色彩をはなっています。

  「まぎれなき百日紅や森の中」  (正岡子規

閑話休題
夏の暑い昼下がり、「日本の古典」を読んでみるのもいいですよ。
今日は、「月日(つきひ)は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行きかふ年もまた旅人(たびびと)なり。」で始まる「おくのほそ道」を読んでみました。この古典は、松尾芭蕉が弟子曽良をつれた旅の記録であり、元禄2年3月27日(1689年5月16日)に江戸を出発して、東北地方や北陸地方を巡って、岐阜の大垣にまで行く旅程が記されています。江戸深川を出発した奥の細道の旅は、全行程が約600里(2400キロメートル)にも及び、かかった日数も約150日間という長旅でした。
8月の今頃は、越後路を旅しており、 曽良の随行日記によれば元禄二年(1689年)7月4日 出雲崎宿で発想した有名な俳句
    「荒海や 佐渡によこたふ 天の河(あまのがわ)」
を、7月6・7日(1689年8月24日)の俳席(直江津宿)で詠んだとされています。
この句は雄大で夏の暑さも忘れさせてくれますね。芭蕉は何度も句を推敲(すいこう)することで知られていて、この句も実際の風景を読んだものではありません。当時の人々の佐渡が島への感覚は、貴人の配流(はいる)の島であり、そのため佐渡に横たわる天の川は、すざまじい気配(けはい)を漂わせています。この季節の日本海は穏(おだ)やかな海で、冬の日本海の荒海ではないので「荒海や」と詠んだ芭蕉の苦心が察せられます。